霊長目ロリス科Lorisidaeの原猿の総称。ロリス科はロリス亜科とガラゴ亜科に分けられる。ロリス亜科には,東南アジアに生息するスローロリスNycticebus coucang,インドに生息するホソロリス(スレンダーロリス)Loris tardigradus,カメルーンからナイジェリアにかけて生息するアンワンティボArctocebus calbarensis,ギニアからビクトリア湖にかけて生息するポットーPerodicticus pottoの4属4種が含まれる。またガラゴ亜科には,アフリカ中南部に生息するオオガラゴGalago crassicaudatus,セネガルガラゴ(ショウガラゴ)G.senegalensisなどの1属6種が含まれる。
両亜科ともに,鼻口部はやや突出しているが,頭部は前後に短く,前に向いた大きな目をもつ。耳はロリス亜科では小さいが,ガラゴ亜科では大きい。頭胴長は種によって異なるが,ロリス亜科で19~41cm,ガラゴ亜科で13~38cm。尾はロリス亜科ではまったくないか,きわめて短いのに対し,ガラゴ亜科では15~48cmと長い。また,ロリス亜科では前肢の第2,3指が退化傾向を示し,細い木の枝などをしっかり把握するのに適しているのに対し,ガラゴ亜科にはこのような傾向は見られない。
運動様式も両亜科には大きな相違があり,ロリス亜科の種は樹上をきわめてゆっくりとした動きで移動するのに対して,ガラゴ亜科の種はよく発達した後肢で枝から枝へと跳び移り,地上ではカンガルーのような跳躍を見せる。ロリス科の種はすべて夜行性である。生息環境は熱帯降雨林から乾燥林までさまざまであるが,一般に雑食性で,昆虫や小動物,小鳥,鳥の卵などのほか,果実や木の葉も食べる。ロリス亜科の4種はすべて単独生活者で,同性の個体に対して排他的ななわばりをつくる。ガラゴ亜科も単独生活が一般的であるが,やや集合性の強い種もある。ガラゴ亜科の種は日中巣をつくってその中で眠るが,ロリス亜科の種にはこのような習性は見られない。
執筆者:古市 剛史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱霊長目ロリス科ロリス亜科に属する動物の総称。この亜科の仲間は、インドから東南アジアにすむ子ネコ大の原猿で、3種があり、ホソロリス属Lorisとスローロリス属Nycticebusに分けられる。前肢第2指は退化し、後肢第2指だけに鉤(かぎ)づめがみられる。前歯部は櫛(くし)の歯状を呈し、歯式は
で計36本。顔は平面的で大きな目が前向きにつく。尾はほとんどなく、あっても体毛に隠れて見えない。動作の緩慢な夜行性樹上生活者で、尿によるマーキング行動を行う。昼間は木のうろや葉の茂みの中で過ごし、枝に止まって眠るときは、体軸を垂直にして四肢で枝につかまり、頭を胸にうずめるようにして丸くなる。雑食性で、小動物をとらえる際はすばやい動きをみせ、昆虫、小形爬虫(はちゅう)類、鳥の卵、果実、葉などを食べる。原則として単独で生活するが、ペアでみられることもあり、ポットーなどと同様に、各雄は1頭ないしそれ以上の雌の行動域を覆うように縄張りを構えているものと思われる。
[上原重男]
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