ワスカラン山(読み)ワスカランサン(英語表記)Nevado de Huascarán

デジタル大辞泉 「ワスカラン山」の意味・読み・例文・類語

ワスカラン‐さん【ワスカラン山】

Huascaránペルー中部、アンデス山脈ブランカ山群の山。標高6768メートルで同国最高峰。熱帯地域で冠雪する山としては最も高い。氷河が多く、周辺一帯はワスカラン国立公園に指定されている。1985年、世界遺産自然遺産)に登録

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改訂新版 世界大百科事典 「ワスカラン山」の意味・わかりやすい解説

ワスカラン[山]
Nevado de Huascarán

ペルー中西部,オクシデンタル山脈中のコルディエラ・ブランカCordillera Blanca(〈氷河に覆われた白い山脈〉の意)にある山(南緯9°07′,西経77°37′)。ペルー最高峰(6768m)。コルディエラ・ブランカ中にはこのほかワンドイ,ウワンツァンなど氷河に覆われた山があり,世界の各地から登山隊が訪れる。登山および観光基地はワラス。コルディエラ・ブランカと西側のコルディエラ・ネグラ(黒い山脈)の間の河谷はカエホン・デ・ワイラスCallejón de Huaylasと呼ばれ,ペルーのスイスと称せられる観光地である。1970年のペルー大地震の際にワスカランの西面の氷河が大崩壊を起こし,ちょうど富士山と御殿場市というような位置関係にあるユンガイ町が土石流の下に完全にうもれ,約2万人の生命が失われた。ここは現在,聖地として保存されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワスカラン山」の意味・わかりやすい解説

ワスカラン山
わすからんさん
Nevado Huascarán

南アメリカ、ペルー・アンデスブランカ山脈にある高峰。標高6768メートルで、ペルーの最高峰。南北に並ぶ二つの峰からなり、南峰のほうが高い。標高約5000メートル以上が氷雪に覆われているが、一部では4000メートル付近まで氷河が流下している。中生代堆積(たいせき)岩に貫入した第三紀の花崗(かこう)岩類からなる。1970年5月31日の大地震の際、氷河の崩壊による土石流で山麓(さんろく)の町ユンガイが埋没し、3万5000人に上る死者を出した。北峰(6655メートル)は1908年アメリカのペック女史らにより、また南峰は32年にドイツ・オーストリア隊により初登頂された。

[松本栄次]

世界遺産の登録

ワスカラン山を擁するブランカ山脈の国立公園が1985年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「ワスカラン国立公園」として世界遺産の自然遺産に登録された(世界自然遺産)。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワスカラン山」の意味・わかりやすい解説

ワスカラン山
ワスカランさん
Nevado Huascarán

ペルー中部西寄り,アンデス山中のブランカ山脈にある山。アンカシュ県に属する。同国の最高峰で,標高 6768m。山頂万年雪をいただく巨大な山峰で,登山家,観光客など訪れる者が多い。 1962年には融雪時のなだれで,山麓の村々で死者 3500人を出し,70年には地震に伴う地すべりにより 10村が壊滅,約2万人の死者を出し,20世紀最悪の自然災害の一つといわれる。

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世界大百科事典(旧版)内のワスカラン山の言及

【ワラス】より

…1941年氷河の融水による水害,70年の地震で大きな被害をうけた。ワスカラン山をのぞむ観光地でもある。チャビン文化の遺物を集めた博物館がある。…

※「ワスカラン山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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