改訂新版 世界大百科事典 「ワレニウス」の意味・わかりやすい解説
ワレニウス
Bernardus Varenius
生没年:1622-50
ドイツ生れの先駆的な近代地理学者。ケーニヒスベルクとオランダのライデン大学で学び,49年には医学の試験に合格,同年アムステルダムのエルゼビル書店からラテン語の《日本王国志》を出版。1974年に至ってドイツ語訳,次いで日本語訳も現れた。編纂本であるが,ヨーロッパ語の日本紹介書としては最も古い部類に属する。ワレニウスの夭折直後の1650年には有名な大著《一般地理学》が刊行された。この中で地理学は一般地理学と特殊地理学(地誌)に,前者はさらに絶対(地球自体と諸地域を扱う),相対(天体としての地球を扱う),比較(地球上相異なる諸地域を比較考察する)の3部門に分けられた。本書はヨーロッパ各国で1世紀にわたり普及し,ニュートンも自ら改訂して講義に使用した。しかし,ドイツにおいて,地理学史上におけるワレニウスの業績を初めて高く評価したのは,A.vonフンボルトであった。
執筆者:西川 治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報