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アガメムノン アガメムノンAgamemnon

翻訳|Agamemnon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アガメムノン
Agamemnon

トロイ戦争でギリシア方の総大将をつとめたとされるギリシア神話の英雄。アトレウスの子で,父がテュエステスアイギストスに殺されたあと,ミケーネ王となり,全ギリシアに宗主権をもった。スパルタ王テュンダレオスの娘で,美女ヘレネと双子の姉妹であるクリュタイムネストラが,すでに彼の従兄弟のタンタロスと結婚していたのを,タンタロスを殺し妻にして,イフィゲネイアエレクトラらの娘たちと,息子オレステスをもうけた。ヘレネと結婚し,テュンダレオスの跡を継いでスパルタ王になっていた弟メネラオスは,トロイの王子パリスにヘレネを奪われると,これを取戻すためギリシア中の王たちに参加を求め,遠征軍を組織してトロイを攻め,10年に及ぶ攻囲の末に滅ぼした。しかし遠征に出発するにあたって,航海に必要な順風を得るため,アウリスでイフィゲネイアをアルテミスに犠牲に捧げたために,この仕打ちを怒ったクリュタイムネストラは,夫の留守中にアイギストスと不倫の関係を結び,この愛人と共謀してトロイから凱旋したアガメムノンを,彼が愛人にして連れ帰ったトロイの王女カッサンドラとともに暗殺したという。

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百科事典マイペディアの解説

アガメムノン

ギリシア伝説のミュケナイ(またはアルゴス)王。アトレウスの子,メネラオスの兄。トロイア遠征軍の総帥で,アキレウスの敵役。船隊出発のために順風を得ようとわが娘イフィゲネイアを犠牲にする。
→関連項目アトレウスエレクトラオレステストロイア戦争ミュケナイ文明メネラオス

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デジタル大辞泉プラスの解説

アガメムノン

《Agamemnon》イギリス海軍の戦艦。ロード・ネルソン級。1906年進水、1908年就役の準弩級戦艦。名称は、トロイ戦争時代のギリシアの王の名にちなむ。第1次世界大戦中は、ダーダネルス戦役(ガリポリの戦い)を支援。1919年退役。標的艦とされた後、1926年除籍。翌年、スクラップとして売却。

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世界大百科事典 第2版の解説

アガメムノン【Agamemnōn】

ギリシア伝説のミュケナイ(またはアルゴス)王で,トロイア遠征軍の総大将。アトレウスの子。スパルタ王メネラオス(トロイア王子パリスに誘拐された美女ヘレネの夫)の兄。ヘレネを奪還すべくアウリスに結集したギリシア艦隊の出港時,娘のイフィゲネイアを女神アルテミスへの犠牲に供して,妃クリュタイムネストラの恨みを買った。その10年後,トロイアを陥落せしめ,所期の目的を遂げた彼は,みずからの婢妾としてトロイア王女カッサンドラを伴い,故国に凱旋したが,妃とその情人アイギストスに殺された。

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大辞林 第三版の解説

アガメムノン【Agamemnōn】

古代ギリシャの伝説上のミュケナイ王。トロイ戦争の総指揮官。オレステス・エレクトラの父。トロイアを攻略し故国に凱旋がいせんしたが、連れ帰ったトロイア王女カッサンドラとともに、王妃クリュタイムネストラとその情人アイギストスの手によって殺された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アガメムノン
あがめむのん
Agamemnn

ギリシア神話の英雄。アトレウスの子で、スパルタの城主メネラオスの兄にあたるミケナイ(ミケーネ)の王。妻クリタイムネストラとの間に、イフィゲネイア、エレクトラほか三女と息子オレステスをもうけた。トロヤ戦争ではギリシア軍の総大将として出陣した。ギリシアの艦隊がアウリスに集合したとき、彼は狩りの技を誇ったので、女神アルテミスは怒って風を止め、彼らの出帆を阻んだ。そこで彼は預言者カルカスの忠告に従い、娘イフィゲネイアを、アルテミスの犠牲に捧(ささ)げた。またトロヤでは、英雄アキレウスから美女ブリセイスを奪ったためにアキレウスが戦場から退き、ギリシア軍が危機に瀕(ひん)したので、彼はブリセイスを返して和解を求めた。トロヤ攻略後、アガメムノンは、トロヤの王女カッサンドラの預言を無視して帰国したため、妻クリタイムネストラとその情夫アイギストスの共謀により暗殺された。これには息子オレステスによる復讐(ふくしゅう)の話がある。総じてアガメムノンは、武勇や知謀よりもむしろ誇り高さと威厳において、他をしのぐ英雄である。この物語は『コエフォロイ』『エウメニデス』とともに古代ギリシア悲劇『オレステイア』の一部を構成している。[小川正広]

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世界大百科事典内のアガメムノンの言及

【アキレウス】より

…赤子のころ,わが子を不死身にしようと願ったテティスによって冥界の川に浸されたが,母親の手がつかんでいたかかと(踵)だけは生身のままに残った(アキレス腱)。成人後,出征すれば早世する運命にあるとの母親の警告をふりきってトロイアに渡り,めざましい働きを示したものの,戦争の10年目に,捕虜の女奴隷をめぐる総大将アガメムノンとの争いがもとで戦闘を放棄,味方を敗北寸前にまで追い込んだ。しかし親友パトロクロスPatroklosの戦死を機に再び武器をとり,敵の総大将ヘクトルを討って友の仇を報じた。…

【アトレウス家伝説】より

…テュエステスは復讐を遂げるため神託に従って,実の娘との間にアイギストスAigisthosをもうけた。彼によりアトレウスは殺され,後をその子アガメムノンが継ぎ,弟メネラオスとともにアトレイダイ(アトレウスの胤)と呼ばれる。スパルタ王となったメネラオスの妻ヘレナがトロイアに出奔して端を発したトロイア戦争では,アガメムノンが遠征軍の総大将となった。…

【イフィゲネイア】より

…ギリシア伝説で,ミュケナイ王アガメムノンと妃クリュタイムネストラの娘。アガメムノンを総大将とするトロイア遠征軍がアウリスに結集したとき,女神アルテミスの怒りによって順風が吹かず艦隊は立ち往生したが,女神の怒りを解くにはイフィゲネイアを人身御供にするほかはないと予言者カルカスが説いたため,彼女はアキレウスとの結婚を口実に呼び寄せられ,アイスキュロスの悲劇《アガメムノン》によれば,父親の手で犠牲に供された。…

【イーリアス】より

…物語はギリシアの遠征軍がトロイアを包囲して迎えた10年目の,ある49日間のできごと。アキレウスは全軍の会議の席で王アガメムノンにアポロンの怒りを鎮めるために,その神官の娘を返すよう迫るが,王は代りに彼の愛する捕虜の娘を奪う。この屈辱に怒ったアキレウスは以後の戦闘に加わることを拒み,戦局はギリシア軍に不利になるが,パトロクロスはアキレウスの武具を借りて出撃しヘクトルに討たれる。…

【オレステス】より

…ギリシア伝説で,ミュケナイ王アガメムノンと妃クリュタイムネストラの子。トロイア戦争から凱旋した父を母とその情人アイギストスAigisthosが謀殺したとき,まだ少年だったオレステスは姉エレクトラの手引きで叔父のフォキス王のもとに逃れ,いとこのピュラデスPyladēsとともに育てられる。…

【ギリシア神話】より

…こうした共同事業の最大にして英雄時代の掉尾(とうび)を飾るできごとがトロイア戦争であった。ダーダネルス海峡に面する小アジアの都市トロイア(イリオンともいう)の王子パリスがスパルタ王メネラオスの留守に王妃ヘレナをかどわかし自国に連れ帰ったことから,メネラオスの兄ミュケナイ王アガメムノンがギリシアの英雄たちを糾合,大遠征軍をおこす。10年にわたる攻囲戦の後,木馬の計略によってさしものトロイアも落城し,ヘレナは連れ戻された。…

【クリュタイムネストラ】より

…ギリシア伝説で,ミュケナイ王アガメムノンの妃。クリュタイメストラKlytaimēstraともいう。…

【トロイア戦争】より

…パリスは美神の指示に従い,スパルタに客となり,王の留守に乗じて財宝とともにヘレネをトロイアに連れ去った。これを知ったメネラオスは,兄であるミュケナイ王アガメムノンと謀り,全ギリシアの英雄をアウリスの港に結集し,遠征の途につく。出航に際しては,エウリピデスが《アウリスのイフィゲネイア》で語るように,総大将アガメムノンがアルテミスの怒りを被り,愛娘を犠牲に供することで,やっと順風を得ることができたり,航海途上で毒蛇にかまれて悪臭を放つ英雄フィロクテテスを,レムノス島に置去りにしたりするエピソードがある。…

※「アガメムノン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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