カッサンドラ(読み)かっさんどら(英語表記)Kas(s)andrā

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カッサンドラ」の意味・わかりやすい解説

カッサンドラ
Kassandra

ギリシア神話の女性。トロイの王プリアモスと妃ヘカベの娘で,アポロンに愛され,予言能力を授けられたが,そのあとで約束にそむき,神に体を与えるのを拒んだために,怒ったアポロンは,彼女の予言をだれも信じないようにしてしまった。そのために彼女は,トロイの破滅を早くから予知し,予言によってそれを食止めようと必死に努めたにもかかわらず,なんの効果もなく,トロイ落城の夜にはアテナ神像の前で小アイアスにより操をけがされ,そのあと結局アガメムノンの手に落ち,その愛人にされてミケーネに連れていかれた。そしてここでもクリュタイムネストラのアガメムノン暗殺の企てを予知しながら,予言によってそれを防ぐことができず,彼女自身もクリュタイムネストラの手にかかり殺されたという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カッサンドラ」の意味・わかりやすい解説

カッサンドラ
かっさんどら
Kas(s)andrā

ギリシア神話で、トロヤ王プリアモスとヘカベの娘。アポロン神から予言能力を授けられたが、その求愛を拒んだため、彼女の予言はけっして人から信用されないものとされた。そのためパリスヘレネを連れ帰ったとき、またギリシアの勇士が隠れた木馬がトロヤ城内へ引き入れられた際にも、彼女はその不吉な結果を予言したが、人々は聞き入れなかった。そして落城の際には助けを求めてアテネ女神像にすがったが、引きはがされて小アイアスに陵辱(りょうじょく)される。最後は敵将アガメムノンの側妻(そばめ)となって、2人の息子テレダモスとペロプスを生むが、ギリシアへ渡ったのちは、アガメムノンおよび息子たちともどもクリタイムネストラとアイギストスによって殺された。

[丹下和彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android