アシル化(読み)アシルカ(英語表記)acylation

デジタル大辞泉 「アシル化」の意味・読み・例文・類語

アシル‐か〔‐クワ〕【アシル化】

有機化合物水酸基アミノ基などの水素原子アシル基置換させる反応

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アシル化」の意味・わかりやすい解説

アシル化
あしるか
acylation

有機化合物中の水素原子をアシル基RCO-で置換する反応をいう。置換を受ける水素原子がついている原子の種類により、C-アシル化、N-アシル化、O-アシル化、S-アシル化などに分類される。芳香族炭化水素炭素原子に結合している水素を、アシル基で置換するC-アシル化反応はフリーデル‐クラフツ反応とよばれ、有機合成によく利用される重要な反応である。アシル化のうちでとくに重要なのは、アセチル基CH3CO-により置換するアセチル化と、ベンゾイル基C6H5CO-により置換するベンゾイル化である。

 アシル化に用いる試薬をアシル化剤といい、酸塩化物、酸無水物、ケテンが用いられる。比較的反応が容易に進むN-アシル化などにはカルボン酸を用いることもある。

[廣田 穰]


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化学辞典 第2版 「アシル化」の解説

アシル化
アシルカ
acylation, acyl substitution

アミノ基ヒドロキシ基の水素をアシル基RCO-(Rは炭化水素基)で置換する反応をいう.たとえば,アセチル化ベンゾイル化p-トルエンスルホニル化(トシル化)などがある.合成化学では,アミノ基,ヒドロキシ基を保護する目的で行われるのが普通であるが,p-トルエンスルホニル化の場合は,脱離基としての有用性から置換反応に応用される.アシル化は,相当する酸,酸無水物または酸塩化物を作用させて行われる.

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栄養・生化学辞典 「アシル化」の解説

アシル化

 有機化合物のヒドロキシル基,アミノ基,芳香環などの水素をアシル基(R-CO-)で置換すること.

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世界大百科事典(旧版)内のアシル化の言及

【フリーデル=クラフツ反応】より

…1877年,フランスのフリーデルCharles Friedel(1832‐99)とアメリカのクラフツJames Mason Crafts(1839‐1917)の2人の共同研究で発見された。アルキル化とアシル化の2種の反応が知られているが,いずれも触媒として塩化アルミニウムAlCl3のような強いルイス酸を必要とする。(a)アルキル化 ベンゼンなどの活性化されたベンゼン核を有する芳香族炭化水素は塩化アルミニウムの存在下でハロゲン化アルキルと反応して,アルキルベンゼンを与える(式(1))。…

※「アシル化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」