翻訳|Addis Ababa
エチオピアの首都。推定人口は1965年に約50万であったのに対し,84年には140万,94年には232万,2002年には265万とされている。エチオピア高原のほぼ中央にあり,標高2400mに及ぶため,赤道に近くても,温暖ないし冷涼な気候が年間を通してみられる。〈世界で最も気候のよい所〉とか,エチオピアの暦が13ヵ月からなっていたために,〈13ヵ月の日光〉というような形容句を冠して呼ばれる都市である。郊外のエントト山からはユーカリの緑に浮かんだ近代的建築群が望まれるが,もともとエチオピアの首都は,燃料にする針葉樹の森林を求めて移動する一時的な存在であった。生長の早いユーカリの導入によって初めて移動を止めたのであった。
アジス・アベバとは〈新しい花〉を意味し,1883年に建設され,89年に首都となった。地理的に国のほぼ中心に位置し,ここから放射状に全天候道路が発して地方の州都と結びついており,中央集権的な国家の中心で,アフリカ統一機構,およびその後継組織,アフリカ連合の本部もここに置かれている。創設が新しいため,歴史的な建造物はないが,旧帝国時代の宮殿,エチオピア教会の大伽藍などが市の中央部にあって目につく存在である。町はずれに近い所にマルカートと呼ばれる市場があり,アフリカ第1ともいわれるにぎわいをみせている。首都であるため,外国人の多くはここに住むが,標高が高いため,頭痛,脱力感など体の異常を訴えることが多い。だが,幸いに町は高原の縁にあり,そこから地溝帯に下る整備された道路と,低地には保養地があるので,週末に濃い酸素の補給をすることが可能であり,また必要である。
執筆者:鈴木 秀夫
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エチオピアの首都。同国の中央の標高2400mの高原に位置する。のちのメネリク2世が建設し,1889年以降首都。名称はアムハラ語の「新しい花」に由来。アフリカ統一機構(OAU)およびアフリカ連合(AU)本部の所在地でもある。
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