基本情報
正式名称=アゼルバイジャン共和国Azerbaidzhan Respublikasy/Republic of Azerbaijan
面積=8万6600km2
人口(2010)=905万人
首都=バクーBaku(日本との時差=-5時間)
主要言語=アゼルバイジャン語,ロシア語,アルメニア語
通貨=マナトManat
ソ連邦構成共和国の一つであったアゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国Azerbaidzhan Sovet Sosialist Respublikasy(ロシア語ではAzerbaidzhanskaya SSR)が,1991年8月アゼルバイジャン共和国として独立し,ソ連邦解体後の93年9月独立国家共同体(CIS)に加盟した。北は大カフカス山脈の天険とダゲスタン地方,西はグルジアとアルメニアの両共和国,東はカスピ海に接し,南のアラス(アラクス)川とタリシ山脈を挟んでイラン領アゼルバイジャンと対している。国内にはナヒチェバン自治共和国(1924形成)とナゴルノ・カラバフ自治州(1923設置)があり,国内は行政上59地区,11都市に分けられている。民族構成はアゼルバイジャン人90%,ダゲスタン諸族3.2%,ロシア人2.5%,アルメニア人2.3%,その他2%である(1995推定)。ソ連邦解体前の1989年センサスではロシア人,アルメニア人がそれぞれ約6%を占めていた。アゼルバイジャン人は,この地方の古い住民であるアルバニア人,メディア人などと,新来のスキタイ・キンメリア人,トルコ人,ペルシア人などとの混血によって形成されたといわれ,アゼルバイジャン語を話す。人口は旧ソ連期の1979年にソ連領内に548万,うち471万がアゼルバイジャン共和国に住んでいた。
1980年工業生産高は1940年比12倍,1913年比72倍で,鉱工業生産高が国内総生産の約24%(1994)を占める。このうちで主座を占めるのは,バクー油田地帯の採油,石油精製,天然ガスおよび石油化学工業で,ほかに電力,鉱業,化学,機械,金属等の重工業,繊維,農畜産物加工等の軽工業も発展している。バクー,ギャンジャ(旧キーロババード)のほか,新興のスムガイト,ミンゲチャウル,ステパナケルト,アリ・バイラムリ,ダシケサン等がその中心である。一方,80年農業生産高は40年比5.5倍となっているが,国内総生産の2.2%(1994)である綿花栽培を主軸とし,ほかに小麦,タバコ,野菜,ブドウ,果実,茶等を産する。畜産では牧羊が主で伝統的な山岳放牧方式による。工業国への転換は著しく,都市人口も89年現在,全人口の54%にのぼっている。文化面の中心はバクーであるが,共和国全体に教育が重視されており,識字率は97%(1989)。出版活動も盛んで,80年の書籍出版点数は1226,計1180万冊を数え,うちアゼルバイジャン語のものが793点,900万冊を占めていた。ラジオ,テレビ放送はアゼルバイジャン語,ロシア語,アルメニア語で行われている。近年,アゼルバイジャン民族の固有の伝統・文化への関心の高まりも顕著である。
1988年2月アゼルバイジャン共和国ナゴルノ・カラバフ自治州のアルメニア共和国への帰属替えを求めるアルメニア人の運動が高揚し,これに反発したアゼルバイジャン人との緊張の中で,スムガイト事件が勃発,内外に大きな衝撃を与えた。ナゴルノ・カラバフをめぐる対立は,アルメニア,アゼルバイジャン両共和国の本格的な民族戦争にエスカレートし,双方からの大量の難民の問題も深刻化した。90年1月バクーでのアルメニア人へのポグロムを機に,ソ連軍がバクーの武力制圧に突入,アゼルバイジャン人民戦線が武装抵抗を展開した。このバクー事件は,ソ連各地で共産党を脅かすほど発展した民族運動組織への見せしめであり,諸民族の連邦中央への不信感を高めた。91年8月ソ連保守派のクーデタ失敗後,アゼルバイジャン共和国は独立を宣言。9月共産党のA.N.ムタリボフが初代大統領となるが,92年6月人民戦線のA.エルチベイが大統領に当選した。しかし軍部のクーデタで追われ,93年6月H.アリエフ(ブレジネフ時代の保守派幹部,アゼルバイジャン共産党第一書記。ソ連のクーデタ失敗後,ナヒチェバンで復活)が権力の座に返り咲き,10月大統領となった(93年9月にはCISに加盟)。
執筆者:高橋 清治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
一粒の種子をまけば万倍になって実るという意味から,種まき,貸付け,仕入れ,投資などを行えば利益が多いとされる日。正月は丑(うし),午(うま)の日,2月は寅(とら),酉(とり)の日というように月によって...
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
7/22 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
6/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
5/20 小学館の図鑑NEO[新版]昆虫を追加