アヤゴ(読み)あやご

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アヤゴ
あやご

沖縄県宮古列島における歌謡の総称。方言ではアヤグ、アーグと発音する。その文章語表記。「綾言(あやごと)」の意というが、未詳。伝統的なアヤゴは、対句形式を基調にした詞章で、大別して、節一つで歌意を完結させる詠嘆的な短詩形式と、節を重ねて叙述を展開させる長詩形式とがある。前者は叙情的な小歌(こうた)で、即興的に謡われることも多い。同じ小歌でも、琉歌(りゅうか)が対句を用いないのと対照的である。
 アヤゴの特色は、後者のような神伝、史伝、世間話などを詠み込んだ叙述的な詞章が発達していることにある。珍しい様式の詩で、今日なお、現代の事件、感懐を歌い上げる力を失っていない。宮古列島では説話をユガタリ(「世語り」か)と総称し、神話、伝説、昔話、世間話などが豊富に語られているが、叙述的なアヤゴは、ユガタリと表裏をなしている場合もある。古く『宮古島旧記』(1727)に9首の叙述的アヤゴがみえるが、これも史伝の本文に添えて記されている。八重山(やえやま)列島の古記録(1705)にも、叙述的な長詩形式のアヤゴがある。この種の歌謡をアヤゴと称したのが古意かもしれない。[小島瓔

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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