改訂新版 世界大百科事典 「アラスカ湾」の意味・わかりやすい解説
アラスカ湾 (アラスカわん)
Gulf of Alaska
北太平洋北部,アメリカ合衆国アラスカ州南部海岸の広い湾。東はアレクサンダー諸島,西はアラスカ半島にはさまれ,幅は約1500kmである。海岸線は複雑で良港に恵まれる。北部中央部にはプリンス・ウィリアム湾があり,その西にはケナイ半島が延び,さらにクック湾が深く食い込んでその湾奥にはアラスカ州最大の都市アンカレジがある。湾内には左回りに環流するアラスカ海流があり,北太平洋北部を反時計回りにめぐる亜寒帯環流を構成する。冬季は南よりの風が卓越するので比較的温暖で,海水温は5℃以上と高い。山岳地帯の多量な降雪は太平洋岸唯一の海岸氷河地帯をつくり,夏の融氷水のため沿岸部の表層塩分は32.6g/kg以下と低い。沿岸水の一部はアリューシャン海流となってさらに西方へ流れて,ベーリング海に入る。湾西側のコディアク島は1792年建設の漁業基地であり,現在はアメリカ沿岸警備隊の基地でもある。湾内で漁獲される主要魚種はベニザケ,マス,タラ,オヒョウ,ニシン,タラバガニ等で,冷凍魚として多く日本に輸出される。その他,スケトウダラや底魚の資源も豊富で,日本漁船による操業も行われていて,水産資源の供給地として,日本にとって重要な海域である。
執筆者:矢ヶ崎 典隆+大谷 清隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報