アラフラオオニシ
false trumpet shell
Syrinx aruanus(=Megalatractus proboscidiferus)
殻の高さ80cmに達する世界最大のテングニシ科の巻貝。アラフラ海~インドネシア東部に分布し,水深20~50mの細砂底にすむ。殻は重厚で,高円錐形であるが,幼貝のときには殻頂に白色の円筒形の殻が突き立っており,成長すると失われる。殻表は黄卵色だが,成長すると灰褐色の粗いビロード様の皮をかぶる。ふつう殻の高さ50cmで太さは25cmくらい。殻口は大きく,内側は黄白~黄橙色で下方へ水管突起がのびて,狭い水管溝ができる。ふたは革質で厚く長卵形。肉は食用にし,殻は飲料水の容器や磨いて飾物にする。卵囊塊は長さ17.5cm,幅9cmくらいの黄白色で,約20の卵囊が瓦のように並び1卵囊に高さ3.5cmの幼貝が18個内外入っている。幼貝は円筒形で親貝と形が異なるので別種にされたことがある。
執筆者:波部 忠重
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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アラフラオオニシ
あらふらおおにし
Australian trumpet
[学] Syrinx aruanus
軟体動物門腹足綱テングニシ科の巻き貝。大形種で、オーストラリア東岸から、北岸のアラフラ海を経て、インドネシアの一部にかけて分布し、水深20~50メートルの泥底にすむ。巻き貝では世界最大となり、殻高70センチメートル、殻径35センチメートルに達する。殻は黄橙(おうとう)色の太い紡錘形で、肩と底部周縁に稜角(りょうかく)があり、その間はほとんど平らである。殻表は黄褐色のビロード状をした殻皮に覆われ、殻口は広く水管溝は長い。蓋(ふた)は角質の葉状形。殻表を磨いたり彫刻を施したりして置物などにする。和名は、第二次世界大戦後アラフラ海の真珠貝(シロチョウガイ)採取船が持ち帰ったことに由来する。
[奥谷喬司]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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アラフラオオニシ
Syrinx aruanus; Australian trumpet shell
軟体動物門腹足綱オニコブシガイ科。アラフラ海の真珠採取船が多く持帰って飾り物にしたのでその名がついた。世界最大の巻貝で,殻高 60cm,殻径 35cmほどになるが,最大個体は殻高 80cmに及ぶ。殻は太い紡錘形で,胎殻は白色の細い円筒形で8層。螺塔は円錐形,体層は大きく,肩に角がある。殻表は厚いビロード様の殻皮でおおわれるが乾燥するとはがれやすい。殻口は大きく,水管溝がやや長く伸びる。オーストラリア北部アラフラ海に固有。潮間帯から水深 10mの砂底にすむ。肉は食用,殻は容器や装飾に用いる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のアラフラオオニシの言及
【テングニシ】より
…テングニシ科の巻貝(イラスト)。殻の高さ20cm,径8.5cmに及ぶ大型種。殻は紡錘形で,やや厚質堅固。巻きは円錐形で8層,最後の巻きは大きく高く,高さの約3/4を占めて下方へ細くなる。肩には弱い角がある。殻表は淡紅白色で,その上にビロード様の殻皮をかぶるが,乾燥するとはげやすい。殻口は下方の水管溝のほうへ狭くなる。ふたは長卵形で革質,黒褐色でやや厚い。5~6月ころ産卵し,卵囊は黄色で革質の軍配形で高さ約1cm。…
※「アラフラオオニシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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