出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
ヨーロッパ,北アメリカ,チリ,千島などの海岸地帯に分布するイソマツ科の耐寒性多年草。属名のArmeriaはケルト語の〈海に近い〉という意味で,和名ハマカンザシとともに海浜性植物であることを表している。花言葉は可憐。短小な細く硬い葉を密に根生し,よく分げつして半球状に茂る。4~5月ころ,高さ10~15cmくらいの細い無葉の花茎を抽出して,その先に濃桃色の多数の小花を直径2~2.5cmの頭状花序に咲かせる。白色をはじめ,深紅,紫紅色など花の色や大きさの変異があり,多数の品種がある。同属には,大型で高さ30cmくらいになるオオハマカンザシA.plantaginea Willd.や,ごく小型な高山植物ヒメカンザシA.caespitosa Boiss.なども栽培される。春の花壇用草花として用いられ,日当り,排水のよい土地を好む。植え時は9~10月が最適期。繁殖は秋に株分けによるが,オオハマカンザシは実生による。
執筆者:柳 宗民
スペイン南部の同名県の県都。人口17万2055(2001)。9世紀に後ウマイヤ朝のアブド・アッラフマーン2世が建設し,11世紀半ばまでイスラム都市として繁栄した。当時建設された城塞が今も旧市街区にそびえ立っている。1489年にキリスト教徒が再征服するが,その後北アフリカのベルベルの海賊活動の拠点となり,またたびたび地震に見舞われて衰退した。そのうえ,商工業を担っていたモリスコが16世紀末に追放され,同市は荒廃した。19世紀には県下のガドル山脈の鉱山資源の採掘が始まり,アルメリアは積出港となった。近代的都市への成長は内戦以後であり,それを支えたものは県下の大理石の採掘とトマト栽培の導入である。特にトマトはスペイン第1の生産高を誇り,近郊で栽培されるブドウ,オレンジ,また鉄鉱石や塩などと共に国内外に積み出される。地中海に臨み,カディス,マラガに次いでアンダルシア地方の重要な港湾都市である。
執筆者:岡住 正秀
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