アルメリア(読み)あるめりあ(英語表記)shrift

翻訳|shrift

デジタル大辞泉 「アルメリア」の意味・読み・例文・類語

アルメリア(Almería)

スペイン南部、アンダルシア州の都市。地中海のアルメリア湾に面する港をもつ。温暖で乾燥した気候で、周辺では灌漑かんがい農業、ハウス農業が行われる。11世紀半ば、イスラム支配の下で最盛期を迎え、織物業が盛んな商工都市となった。後ウマイヤ朝時代に築かれた大規模な要塞が残る。

アルメリア(〈ラテン〉Armeria)

イソマツ科多年草。高さ10~15センチ。根元から多くの枝に分かれ、細い葉を密につける。春、葉の間から花茎を出し、頂に多数の淡紅色の小花が集まって咲く。花壇などにする。はまかんざし 春》

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精選版 日本国語大辞典 「アルメリア」の意味・読み・例文・類語

アルメリア

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] armelia ) イソマツ科の多年草。ヨーロッパ北アメリカ、千島に分布し、観賞用として栽培される。ハマカンザシともいう。葉は細長い線形で密生する。春、葉の間から高さ二〇センチメートルぐらいになる花茎をのばし、先端に多数の小花を密につける。花色は淡紅、薄紫、白などがある。ハマカンザシは、浜辺に生え、かんざしに似ていることからつけられた。《 季語・春 》

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルメリア」の意味・わかりやすい解説

アルメリア(イソマツ科)
あるめりあ
shrift
lady's cushion
[学] Armeria

イソマツ科(APG分類:イソマツ科)の多年草。同属には約50種がある。花壇、鉢植え用として、おもにハマカンザシA. maritima (Mill.) Willd.(A. vulgaris Willd.)とオオハマカンザシA. alliacea (Cav.) Hoffm. et Link(A. plantaginea Willd.)が栽培される。ハマカンザシは中部ヨーロッパ、北アメリカ、チリ、千島などに分布し、主としてヨーロッパ産のものが品種改良されている。葉は線状または線状披針(ひしん)形で、叢(そう)状に群生し、芝状になる。花は3~5月に花茎を10~15センチメートル伸ばして、小さい花が集まって径2.5センチメートルの頭状花となる。花色は桃赤色、藤(ふじ)色、白などがある。

 オオハマカンザシは南・中部ヨーロッパの原産で、花茎は30センチメートル以上にも伸び、実生(みしょう)によって変種を楽しむこともできる。マツバナデシコA. caespitosa Boiss.は、スペイン、ポルトガルの高山に自生し、形はハマカンザシに似るが、矮性(わいせい)で、花茎は5~6センチメートルでヒメカンザシともいわれる。いずれも耐冬性があり、性質もきわめて強い。土質は選ばないが、酸性土壌では育ちが悪いので、消石灰を1平方メートル当り100グラムをまいて植えるとよい。排水がよく日当りのよい所に、9月下旬から10月上旬に株分けをする。

[猪股正夫 2021年2月17日]

語源

かんざし玉のようにみえるのでハマカンザシの名がある。英名のシュリフトやレディス・クッションの名は、よく繁茂する姿からつけられたが、レディス・クッションのレディは聖母マリアをさすとの説もある。またシー・ピンクの別名もあるが、海辺で育ちピンクの花を咲かせることにちなんでいる。

[湯浅浩史 2021年2月17日]


アルメリア(スペイン)
あるめりあ
Almería

スペイン南部、アンダルシア地方アルメリア県の県都。人口16万6328(2001)。地中海に臨むアルメリア湾岸に位置する近代的な港湾都市で、鉄鉱石ブドウ、柑橘(かんきつ)類、エスパルトグラス(アフリカハネガヤ)などが輸出される。イワシ、貝などの漁業や若干の軽工業もあり、周辺では灌漑(かんがい)農業が行われる。年降水量が300ミリメートル以下、12月の最低気温が7℃と、温暖な気候に恵まれ、避寒地としても有名である。フェニキア人によって築かれ、ムーア人によりアル・マリヤトAl-Mariyatと名づけられ、1035~1091年にはムーア人の王国の首都となった。旧市街は狭く曲がりくねった街路などムーア人時代の特徴が残る古い町並みで、アルザーバ城塞(じょうさい)(8世紀)やサンクリストバル城跡、高い塔をもつサンティアゴ教会(16世紀)などがある。

[田辺 裕・滝沢由美子]

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改訂新版 世界大百科事典 「アルメリア」の意味・わかりやすい解説

アルメリア
(common)thrift
sea-pink
Armeria maritima Willd.(=A.vulgaris Willd.)

ヨーロッパ,北アメリカ,チリ,千島などの海岸地帯に分布するイソマツ科の耐寒性多年草。属名のArmeriaはケルト語の〈海に近い〉という意味で,和名ハマカンザシとともに海浜性植物であることを表している。花言葉は可憐。短小な細く硬い葉を密に根生し,よく分げつして半球状に茂る。4~5月ころ,高さ10~15cmくらいの細い無葉の花茎を抽出して,その先に濃桃色の多数の小花を直径2~2.5cmの頭状花序に咲かせる。白色をはじめ,深紅,紫紅色など花の色や大きさの変異があり,多数の品種がある。同属には,大型で高さ30cmくらいになるオオハマカンザシA.plantaginea Willd.や,ごく小型な高山植物ヒメカンザシA.caespitosa Boiss.なども栽培される。春の花壇用草花として用いられ,日当り,排水のよい土地を好む。植え時は9~10月が最適期。繁殖は秋に株分けによるが,オオハマカンザシは実生による。
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アルメリア
Almería

スペイン南部の同名県の県都。人口17万2055(2001)。9世紀に後ウマイヤ朝のアブド・アッラフマーン2世が建設し,11世紀半ばまでイスラム都市として繁栄した。当時建設された城塞が今も旧市街区にそびえ立っている。1489年にキリスト教徒が再征服するが,その後北アフリカのベルベルの海賊活動の拠点となり,またたびたび地震に見舞われて衰退した。そのうえ,商工業を担っていたモリスコが16世紀末に追放され,同市は荒廃した。19世紀には県下のガドル山脈の鉱山資源の採掘が始まり,アルメリアは積出港となった。近代的都市への成長は内戦以後であり,それを支えたものは県下の大理石の採掘とトマト栽培の導入である。特にトマトはスペイン第1の生産高を誇り,近郊で栽培されるブドウ,オレンジ,また鉄鉱石や塩などと共に国内外に積み出される。地中海に臨み,カディス,マラガに次いでアンダルシア地方の重要な港湾都市である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルメリア」の意味・わかりやすい解説

アルメリア
Almería

スペイン南部,アンダルシア州,アルメリア県の県都。グラナダの東南東約 100kmに位置する。けわしい山地を背にしてアルメリア湾に面する港湾都市。港はローマ時代から栄え,現在はオレンジ,ブドウを積出す8~12月が特ににぎわう。産業は化学工業,金属加工,缶詰工業など。ムーア人が建設したサンクリストバルの城址が町を見おろす高台にあり,ほかにゴシック様式の大聖堂 (1489) ,博物館,歴史研究所などがある。コスタデルソル (太陽海岸) に面し,一年中遊泳できるほど温暖で,避寒地として知られるが,1960年以降は映画のロケ地としてよく使われ,ホテルや空港施設も整備された。人口 15万 3288 (1991推計) 。

アルメリア
Armeria vulgaris(Statice armeria); thrift

イソマツ科の多年草で,北アメリカ,ヨーロッパ,千島など北半球の寒地に自生する。高さ約 15cmで,細い葉を根生し,3~4月頃,多数の花茎を中心から出す。花序は小球状で,ピンク,白,紫紅色などの乾いた膜質の小花を多数集めてつける。寒さに強く,花壇の縁や鉢植にして観賞する。日本ではハマカンザシと呼ばれ,マツバカンザシの別名もある。

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百科事典マイペディア 「アルメリア」の意味・わかりやすい解説

アルメリア

スペイン南部,地中海岸の港湾都市。ブドウ,トマト,オレンジの輸出港として有名。起源はカルタゴの植民市で,ローマ時代にも重要な港であった。8―15世紀にはイスラム勢力の支配下に貿易の中心として繁栄したが,16世紀末に商工業の担い手であったモリスコが追放されたため衰退。スペイン内乱後,大理石採掘やトマト栽培で発展した。18万9680人(2011)。

アルメリア

北半球に約50種が分布する,イソマツ科の常緑多年草。ハマカンザシはヨーロッパ原産で,春先,花壇の縁取りに多く用いられる。葉はシバに似て細い。4〜5月,長さ10〜15cm前後の花茎を1株から十数本出し,先端に径2cm内外,淡紅色〜ふじ色の花を丸いかんざし状に群生させるが,白花の園芸品種もある。株分けでふやす。このほか,ヨーロッパ中部に原産するより大型のオオハマカンザシや,ヨーロッパ南部の高山に原産する小型のヒメカンザシも栽培される。

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