翻訳|shrift
イソマツ科(APG分類:イソマツ科)の多年草。同属には約50種がある。花壇、鉢植え用として、おもにハマカンザシA. maritima (Mill.) Willd.(A. vulgaris Willd.)とオオハマカンザシA. alliacea (Cav.) Hoffm. et Link(A. plantaginea Willd.)が栽培される。ハマカンザシは中部ヨーロッパ、北アメリカ、チリ、千島などに分布し、主としてヨーロッパ産のものが品種改良されている。葉は線状または線状披針(ひしん)形で、叢(そう)状に群生し、芝状になる。花は3~5月に花茎を10~15センチメートル伸ばして、小さい花が集まって径2.5センチメートルの頭状花となる。花色は桃赤色、藤(ふじ)色、白などがある。
オオハマカンザシは南・中部ヨーロッパの原産で、花茎は30センチメートル以上にも伸び、実生(みしょう)によって変種を楽しむこともできる。マツバナデシコA. caespitosa Boiss.は、スペイン、ポルトガルの高山に自生し、形はハマカンザシに似るが、矮性(わいせい)で、花茎は5~6センチメートルでヒメカンザシともいわれる。いずれも耐冬性があり、性質もきわめて強い。土質は選ばないが、酸性土壌では育ちが悪いので、消石灰を1平方メートル当り100グラムをまいて植えるとよい。排水がよく日当りのよい所に、9月下旬から10月上旬に株分けをする。
[猪股正夫 2021年2月17日]
スペイン南部、アンダルシア地方アルメリア県の県都。人口16万6328(2001)。地中海に臨むアルメリア湾岸に位置する近代的な港湾都市で、鉄鉱石、ブドウ、柑橘(かんきつ)類、エスパルトグラス(アフリカハネガヤ)などが輸出される。イワシ、貝などの漁業や若干の軽工業もあり、周辺では灌漑(かんがい)農業が行われる。年降水量が300ミリメートル以下、12月の最低気温が7℃と、温暖な気候に恵まれ、避寒地としても有名である。フェニキア人によって築かれ、ムーア人によりアル・マリヤトAl-Mariyatと名づけられ、1035~1091年にはムーア人の王国の首都となった。旧市街は狭く曲がりくねった街路などムーア人時代の特徴が残る古い町並みで、アルザーバ城塞(じょうさい)(8世紀)やサンクリストバル城跡、高い塔をもつサンティアゴ教会(16世紀)などがある。
[田辺 裕・滝沢由美子]
ヨーロッパ,北アメリカ,チリ,千島などの海岸地帯に分布するイソマツ科の耐寒性多年草。属名のArmeriaはケルト語の〈海に近い〉という意味で,和名ハマカンザシとともに海浜性植物であることを表している。花言葉は可憐。短小な細く硬い葉を密に根生し,よく分げつして半球状に茂る。4~5月ころ,高さ10~15cmくらいの細い無葉の花茎を抽出して,その先に濃桃色の多数の小花を直径2~2.5cmの頭状花序に咲かせる。白色をはじめ,深紅,紫紅色など花の色や大きさの変異があり,多数の品種がある。同属には,大型で高さ30cmくらいになるオオハマカンザシA.plantaginea Willd.や,ごく小型な高山植物ヒメカンザシA.caespitosa Boiss.なども栽培される。春の花壇用草花として用いられ,日当り,排水のよい土地を好む。植え時は9~10月が最適期。繁殖は秋に株分けによるが,オオハマカンザシは実生による。
執筆者:柳 宗民
スペイン南部の同名県の県都。人口17万2055(2001)。9世紀に後ウマイヤ朝のアブド・アッラフマーン2世が建設し,11世紀半ばまでイスラム都市として繁栄した。当時建設された城塞が今も旧市街区にそびえ立っている。1489年にキリスト教徒が再征服するが,その後北アフリカのベルベルの海賊活動の拠点となり,またたびたび地震に見舞われて衰退した。そのうえ,商工業を担っていたモリスコが16世紀末に追放され,同市は荒廃した。19世紀には県下のガドル山脈の鉱山資源の採掘が始まり,アルメリアは積出港となった。近代的都市への成長は内戦以後であり,それを支えたものは県下の大理石の採掘とトマト栽培の導入である。特にトマトはスペイン第1の生産高を誇り,近郊で栽培されるブドウ,オレンジ,また鉄鉱石や塩などと共に国内外に積み出される。地中海に臨み,カディス,マラガに次いでアンダルシア地方の重要な港湾都市である。
執筆者:岡住 正秀
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