アレカヤシ(その他表記)butterfly palm
Chrysalidocarpus lutescens Wendl.

改訂新版 世界大百科事典 「アレカヤシ」の意味・わかりやすい解説

アレカヤシ
butterfly palm
Chrysalidocarpus lutescens Wendl.

ヤシ科。マダガスカル原産のタケヤシ属の1種で,幹は基部で分枝して株立ちとなる。高さ8mほどに育つ中型種だが,普通は高さ1~3mの幼樹を観葉鉢物として栽培する。葉は羽状複葉で,小葉は細長く,淡緑色で,葉軸にほぼ対生してつき,ゆるやかに曲がって全体にやわらかい感じがする。幹は細くタケのように直立して群生し,葉軸が美しい黄色となるので,コガネタケヤシ和名が付けられているが,園芸界では旧属名Arecaのままアレカヤシと呼ばれることが多い。アレカ属の代表的な種ビンロウAreca catechと混同しやすい名である。葉軸部に黒い小斑点を密生するので,病気と間違えられやすい。明治末年に導入された。寒さにやや弱く,8~10℃以上を必要とするが,性質は強く,育てやすい。種子繁殖し,4~5年で観賞用に育つ。古株になれば株分けも可能である。広い空間の装飾に適すので,貸鉢としての利用が多い。家庭でも十分楽しめ,切葉としても利用できる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アレカヤシ」の意味・わかりやすい解説

アレカヤシ
Chrysalidocarpus lutescens; areca palm; butterfly palm

ヤシ科植物で,マダガスカル原産。かつてアレカ属に分類されたためにアレカヤシの名が定着しているが,現在の分類ではクリサリドカルプス属に含まれる。羽状葉がヤマドリの羽に似ていることから,ヤマドリヤシの和名がある。幹は叢生し,直径5~15cm,高さ7~8mに達する。幹には約 10cm間隔で,タケの節のようにみえる葉痕が残る。葉は長さ 2m前後の羽状葉。葉軸に 40~50対の小葉が並び,優美にしなる。熱帯亜熱帯では庭園樹としてしばしば栽培される。国内では温室栽培されるほか,樹高 40cm前後から 2m程度の鉢仕立てで,観葉植物として流通する。また,生け花材料の「切り葉」としても生産されている。耐陰性が比較的強く,室内で栽培しやすい。鉢土の表面が乾いたら十分に水を与え,最低5℃以上に保つ。

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百科事典マイペディア 「アレカヤシ」の意味・わかりやすい解説

アレカヤシ

正しくはコガネタケヤシ(ヤマドリヤシとも)というが,園芸界では旧属名のままアレカヤシと呼ばれることが多い。マダガスカル原産の株立ちになる美しいヤシ科の植物で,温室では4〜5mになる。数本の幹が出てにぎやかなので,鉢植として装飾に適する。葉は6〜10枚出,長さ1〜1.5m,葉柄は30〜60cmで黄色に褐色の斑点がある。繁殖は株分けか実生(みしょう)による。用土は壌土に腐葉土,砂を混ぜ,排水をよくする。本来のアレカ属のヤシとしてはビンロウが有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレカヤシ」の意味・わかりやすい解説

アレカヤシ
あれかやし

ビンロウジ

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世界大百科事典(旧版)内のアレカヤシの言及

【ヤシ(椰子)】より

…またつや出しワックスで有名なカルナウバ蠟(ろう)carnauba waxは南アメリカ産のカルナウバヤシCopernicia ceriferaの葉から採取される。アレカヤシ(ビンロウ)のように果実にアルカロイドを含有し,興奮性の嗜好料に使われるものもある。ヤシ類は工業社会の影響を受ける前の熱帯域では,それぞれの地方に特産するさまざまな種類が,その地域の人間の生活に深く結びついて利用されていた。…

※「アレカヤシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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