日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーデン」の意味・わかりやすい解説
アーデン
あーでん
John Arden
(1930―2012)
イギリスの劇作家。南ヨークシャー州生まれ。建築家を志したがラジオドラマで認められ、劇作の道に入った。『豚のごとく生きろ』(1958)や『マスグレーブ軍曹の踊り』(1959)などで1950年代イギリス演劇革新の一翼を担った。ブレヒトの影響を受けた作風で、歌や踊りを挿入したり、散文と韻文を混ぜたりするとともに、今日的社会問題もよく扱うが、単純に判断を下すことなくつねに複数の視点から眺めて描くのが特徴。その後の作品に、16世紀のスコットランドを舞台に、伝承のバラードに材を借りた叙事劇『アームストロングの最後のおやすみ』(1964)などがある。アーサー王伝説を題材にした壮大な三部作『強者たちの島』(1972)は、アイルランドの作家・劇作家で夫人のマーガレッタ・ダーシーMargaretta D'Arcy(1934― )との共作。
[中野里皓史・大場建治]
『小田島雄志訳『マスグレーヴ軍曹の踊り』(『今日の英米演劇3』所収・1968・白水社)』▽『大場建治著「イギリス現代劇2」(『講座英米文学史7・劇Ⅲ』所収・1992・大修館書店)』