翻訳|iguanodon
世界各地の白亜紀前期、約1億4020万年~9960万年前の地層から産出した草食で四肢あるいは二肢歩行の恐竜。分類学上は鳥盤目鳥脚(ちょうきゃく)類(亜目)エウオルニソポッド類(真鳥脚類)イグアノドン類Iguanodontiaイグアノドン上科Iguanodontoideaに属する。全長5~9メートルで体重は最大で約5トンと推定される。1878年にベルギーのベルニサール炭鉱300メートルの地底から23頭の個体が発見され、大部分が関節でつながった骨格であったので、正確な復原像が判明した。前肢の大きさは後肢の約半分で、手は5本指。親指だけは大釘(くぎ)のような形であったので、それまではサイのような角(つの)と間違えられ、初期の復原では鼻の上につけられた。脛骨(けいこつ)は大腿骨(だいたいこつ)よりやや短い。足跡から、4本指中の3本が機能的で、1本が退化していることが判明した。また足跡から、小形種や大形種の若い個体は二肢歩行をしたが、大形種は四肢歩行を主としたと考えられている。角質のあごとくちばしを忙しく動かして木の葉を食べたらしく、あごには多数のへら状の歯がのこぎり状に密集して生えていた。歯が南米のイグアナの歯に似ているため、イグアノドンと名づけられた。イギリス、ベルギー、フランス、スペイン、ドイツ、モンゴルなどで発見されている。
[小畠郁生]
『佐藤哲、ネイチャー・プロ編集室構成・文『恐竜の行動とくらし4 イグアノドン――草食恐竜はなぜ世界じゅうで繁栄したのか』(1995・偕成社)』
ジュラ紀後期から白亜紀前期に栄えた恐竜の一群で鳥盤目の鳥脚亜目に属する。アフリカ,ヨーロッパ,アジアなどに広く分布した。二足歩行,植食性で禽竜(きんりゆう)ともいわれた。1822年イギリス,サセックスの石切場から発見され,25年にG.マンテルが記載した。その後78年ベルギーのベルニサール炭鉱の地下332~365mの地点よりイグアノドンの完全な骨格が23体も発掘された。そのうち11体が組み立てられ,ドローLouis Dollo(1857-1931)が研究をした。変異性,集団性など恐竜の性質について多くの問題を検討し,古生物の進化の法則性などに関する理論の開発を行った最初の材料である。体長は10m近くあり,後肢が強い。前肢は短く,第1指は鋭いとげ状をしており防御と攻撃に役立った。腰から尾を中心に強い筋肉組織を支持する脊椎骨と交差する骨化した腱が格子状に並んでいる。イグアノドンらはテチス海に注ぐ河川のデルタのような所の熱帯性植物の繁殖している場所で生活していた。外敵は肉食性の恐竜メガロサウルスMegalosaurusである。
→恐竜
執筆者:長谷川 善和
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…鳥盤目のうち剣竜類と曲竜などは三畳紀にすでに分化したと考えられているがはっきりしない。その主流はファブロサウルスFabrosaurusをはじめとして,ヒプシロフォドンHypsilophodonやイグアノドン類で,白亜紀に入ってカモハシ竜類,角竜類やパキケファロサウルスなどが大量に適応放散した。それに対応して竜脚類も分化した(図)。…
※「イグアノドン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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