翻訳|igloo
エスキモーの冬の住居をさす。エスキモー語のイグルーは雪(氷)の家をさす場合が多いが,流木その他の材料で作った家もイグルーとよぶ。雪の家はカナダ北東部やグリーンランド,アラスカ北部でみられた。最近では非常に少なくなったが,狩猟や交易などで移動する時には作っている。氷や固い雪のブロックを切り出すが,その際に掘った穴は住居空間に使うので(半地下式),そのまわりに円形にブロックを積む。規模によるが,4~7段くらいで頂上になる。ブロックのすき間には外から雪をつめる。冬の定住用として作ったものは出入口,通路(廊下),円形の部屋からなる。出入口は低く,通路をまげて寒気が直接入るのを防ぐ。床は毛皮を敷き,獣脂が灯明と燃料として使われ,室内は暖かい。近年西洋式木造家屋が多くなり,伝統的なエスキモー文化は急速に失われつつある。
執筆者:杉本 尚次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
家を意味するエスキモー語であるが、とくにカナダ北東部で冬季に使用される雪小屋の名称としてよく知られる。イグルーの設営はおもに男子が行う。まず探り棒を雪中に入れて、しかるべき固さと厚さをもった雪の層を探る。次にシャベルで表層の軟雪を取り除き、締まった雪の層の上に、パナとよばれるカリブーの角(つの)でできた雪ナイフでイグルーの輪部を描く。ついでこの雪ナイフを用いて幅20インチ(1インチは約2.5センチメートル)、奥行25インチ、高さ4インチほどのブロックを切り出していく。ブロックは、上段に積むものをいくぶん内側に置いてゆき、全体として蜂(はち)の巣状に積み上げる。最後に屋根となるいくぶん小さめのブロックを積み上げる。壁用のブロックを切り出した面は床として使用する。以上の作業はイグルーの内側にいる男子によって行われるが、イグルーの外側にいる女子はシャベルを用いて軟雪をブロックの継ぎ目や穴のあいたところに詰め込む。そのあとでイグルー内部に寝台や食卓を、これもまた雪を用いてつくる。イグルーの主要部が完成したところで、次に通路とポーチをイグルーの入口に接続してつくる。ポーチは貯蔵庫、犬小屋として用いられるが、防風としての機能も重要である。
[岡 千曲]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…アラスカやグリーンランドでは石,流木,鯨骨を使った半地下式の芝土でおおった住居で,中央に炉のある部屋と寒気よけの地下道式の入口をもつ構造であった。カナダのハドソン湾周辺は例外で,雪のブロックを積んだ家(イグルー)が用いられた。夏の漁労・狩猟には海岸,河岸の乾燥地で毛皮製のテントが使用された。…
…前者は当座の住居として建てるもので使い捨てである。コイ・コインの住居,エスキモーのイグルー(氷雪ブロックのドーム)などがその例である。後者にはテント構造やモンゴルのパオなどがある。…
…
[地域の自然と建築材料]
その土地に長く生き続けてきた住居を見ると,その材料はまちがいなくそこに豊かに存在してきた物を利用している。その典型には,有名なエスキモーのイグルー(カナダのキング・ウィリアム島,メルビル半島を中心とした地域の人々が主としてつくる)がある。無尽蔵にある雪を用いて,5,6人用の雪の家が,一人の力で2時間たらずでつくられる。…
※「イグルー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加