出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
低血糖症状を起こす代表的疾患のひとつです。
正常のβ細胞は血糖が低下するとインスリンの分泌をやめますが、インスリノーマの細胞はこの調節ができずにインスリンを分泌し続けるため、低血糖症状を引き起こします。
毎食前や夜間などの空腹時に、冷汗、
病的な低血糖は①空腹時に前述の症状を伴い、②血糖値の低下が証明され(大まかな目安として50㎎/㎗以下)、③血糖を上昇させる処置により症状が改善するもの、と定義されています(ウィップルの3徴)。低血糖発作時に血中インスリンが高値であれば、インスリノーマが疑われます。
この際、人為的低血糖(インスリン注射薬や糖尿病内服薬の不適切な使用)でないことを確認する必要があります。また抗
インスリノーマの確定診断は、絶食試験によります。これは最長72時間まで食事をとらず水分摂取のみで過ごし、採血を繰り返す検査です。途中で低血糖が誘発されれば終了で、この時の血中インスリンおよびCペプチド(自分の膵臓で作られたインスリン量を反映する物質)が低下不十分であれば、インスリノーマと診断されます。
インスリノーマは直径1㎝程度と小さいものが多く、発見しにくいため、場所の特定には通常の腹部超音波検査やCT検査よりも、超音波内視鏡検査が優れているとされます。また、選択的動脈内刺激剤注入試験(SASIテスト)と呼ばれるカテーテル検査が有用です。これは
この検査で特定される動脈の流域と、超音波内視鏡に映る腫瘍の場所が一致すれば、「その腫瘍からインスリンが大量に分泌されている」という証拠を得ることができます。
手術による腫瘍の切除が第一です。切除が不能もしくは不完全な場合には、ジアゾキシド(アログリセム:2008年国内承認)の内服により、インスリン分泌の低下が図られます。保険適応外ですがオクトレオチド(サンドスタチン)の注射も有効なことがあります。
内分泌代謝内科、あるいは消化器内科の受診がすすめられます。
二川原 健, 須田 俊宏
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
インスリンを産生する機能性腫瘍(しゅよう)で、膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島にあるβ(ベータ)細胞の腫瘍である。古くはインスリンを分泌するランゲルハンス島の腫瘍としてインスローマ(膵島細胞腺腫(せんしゅ))とよばれていたが、ランゲルハンス島からはガストリンやグルカゴンなどを分泌する腫瘍が報告されるようになり、インスリノーマとして区別された。おもな症状は低血糖で、腫瘍細胞から生体の制御を受けず自律的に血糖降下作用をもつインスリンが過剰に分泌されるために、血液中のブドウ糖が正常以下に低くなってしまう。このほか、発汗、ふるえ、動悸(どうき)、不安感、飢餓感、ときには頭痛や眠気などの症状を訴える。重症の場合には、けいれん発作や昏睡(こんすい)に陥ることがある。このような発作は空腹時、とくに明け方に多くみられ、だんだん強まるのが特徴で、食物を摂取すると回復する。
診断は血糖および血中のインスリン濃度の測定によるが、CTスキャンや膵静脈撮影によって腫瘍を確認することが必要である。治療は原則的には手術で腫瘍を摘出することであるが、手術できない場合は、副腎(ふくじん)皮質ホルモンやストレプトゾトシンなどを経口投与することで、症状の改善がみられることがある。
[高野加寿恵]
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