ドイツ中部、バイエルン州にある都市。人口12万8000(2000)。ビュルツブルクとも書く。マイン川の浅瀬に立地した集落から発展し、古くから王宮、司教座、大学の所在地で、フランケン地方の文化の中心地として知られてきた。南北と東西に走る、中世の重要な通商路の交差点であり、商業も発達した。とくに周辺はぶどう酒の産地で、その集散地として名高い。文化都市としての性格が強く、市内には当地を中心に活動したバロック建築家ノイマンの設計したドイツ有数のバロック様式の宮殿であるレジデンツ(世界遺産条約登録地)、ロマネスク初期の礼拝堂のあるマリエンベルク城塞(じょうさい)など、多くの歴史的建造物がある。これらのほとんどは、第二次世界大戦中の爆撃によって破壊されたが、昔のように再建された。工業はみるべきものがなかったが、1954年にマイン川に新港が建設されて以来、工業化も図られるようになり、伝統的な印刷業のほか電気機械部品、化学などの近代工業が発展してきた。
[石井英也]
7世紀末、フランケン司教の聖キリアンがウュルツブルクで殉教し、その遺骨がマイン川右岸の地に埋められ、その上に司教座聖堂が建てられて、司教都市として発達した。1168年司教はフランケン公に叙せられる。1525年ドイツ農民戦争に際し、一揆(いっき)農民はマイン川左岸にある司教のマリエンベルク城を攻囲したが、落城せず、一揆崩壊の端緒となった。
[瀬原義生]
バロック建築様式のレジデンツ(司教館)とそれを取り囲む庭園および広場が1981年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「ウュルツブルク司教館、その庭園群と広場」として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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