ウリジル酸(読み)ウリジルサン

化学辞典 第2版 「ウリジル酸」の解説

ウリジル酸
ウリジルサン
uridylic acid

uridine monophosphate.C9H13N2O9P(324.18).略称UMP.ウリジン-5′-ホスフェート(5′-UMP),3′-ホスフェート(3′-UMP),2′-ホスフェート(2′-UMP)の3種類の異性体が存在する.いずれもそのリン酸結合は低エネルギー結合であり,RNA加水分解によって得られる.ウリジル酸とよぶときは,5′-ホスフェートをさすことが多い.一般に,2′-UMPと3′-UMPは酸性条件で互いに異性化しやすい.3′-UMPはRNAのリボヌクレアーゼ T2 などによる酵素分解で,5′-UMPはヘビ毒ジホスホエスラーゼ分解で得られる.後者は生体内でオロチジル酸の酵素的脱炭酸で合成される.いずれもλmax 262 nm(ε 10.0×103,pH 2,pH 7).5′-UMPはATPによりホスホリル化されてウリジン二リン酸(UDP),さらに三リン酸(UTP)となる.[CAS 58-97-9]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウリジル酸」の意味・わかりやすい解説

ウリジル酸
うりじるさん

核酸の構成単位であるヌクレオチドの一つ。ウリジン一リン酸(UMPと略記)ともいう。ピリミジン塩基一種であるウラシル、五炭糖(ペントース)であるD-リボース、リン酸が各1分子ずつ結合している。他のヌクレオチドの場合はリボースのかわりにデオキシリボースを含むデオキシリボヌクレオチドも存在するが、ウラシルはDNAデオキシリボ核酸)に含まれていない(かわりにチミンが含まれている)ので、デオキシウリジル酸は天然には存在しない。リン酸がリボースの3位か5位に結合することによって、3'-ウリジル酸か5'-ウリジル酸になる。いずれもRNA(リボ核酸)を適当な加水分解酵素で分解すれば得られるが、生体内に単独でも存在する。

[笠井献一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウリジル酸」の意味・わかりやすい解説

ウリジル酸
ウリジルさん
uridylic acid

ウリジン一リン酸 (分子式 C9H13N2O9P ) の総称で,UMPと略す。リボ核酸中の一成分で,波長 260nm ( 2600Å ) 付近紫外線を吸収する。糖部分につくリン酸基の位置により,2' -,3' -,5' - の種類 (異性体) がある。1つのリン酸基が 2' ,3' 位に環状についているものもある。 5' -ウリジン一リン酸は,生体内でオロチジル酸から生じる最初のヌクレオチドである。ウリジル酸よりもリン酸が1個多いウリジン二リン酸 UDPは,多糖類合成の中間代謝に重要な役割を果している。 UMPは UDP系補酵素の成分である。 (→ウリジン三リン酸 )  

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栄養・生化学辞典 「ウリジル酸」の解説

ウリジル酸

C9H13N2O9P (mw324.18).

 ウリジン一リン酸,ウリジン5-一リン酸ともいう.RNAの構成成分.さらにリン酸エステル化されてウリジン二リン酸,ウリジン三リン酸となり,特有の生理機能を果たす.

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