エジソン(イタリアの電力会社)(読み)えじそん(英語表記)Edison S.p.A.

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

エジソン(イタリアの電力会社)
えじそん
Edison S.p.A.

イタリアの民間電力会社。1884年、北西イタリア地方に創設された電力会社(初期のエジソン社)に起源をもつ。1950年以降、化学分野に進出し、1960年にはイタリアで第2の規模の化学事業部門を擁するまでに拡大した。1962年の電力国有化法で、全国シェア約4分の1に及ぶ電力事業部門を政府に売却。以後、電力事業は傘下企業への電力供給に限定し、石油化学合繊鉄鋼などの部門に進出した。1966年化学会社のモンテカチーニ社と合併してコングロマリット、モンテカチーニ・エジソン社Montecatini Edisonを設立した。これはイタリア最大の産業企業となった。1969年にモンテジソン社Montedisonと名称を変更。

 モンテジソンの電力事業部門は、新たにセルムSelm社として独立させ、1983年にミラノ証券取引所に上場した。1991年にセルム社は社名由緒のあるエジソン社に変更した。親会社のモンテジソン社は株式の過半(61%)を所有していた。1991年の国家エネルギー計画により、再生可能エネルギーに重点が置かれるようになると、エジソン社はその関連分野へいち早く進出した。1999年以降、電力の規制緩和に伴って、関連企業以外への電力供給を開始、また天然ガス事業の拡張を図った。

 2001年に持株会社のイタレネルジアItalenergiaが、モンテジソン社の株式の過半を支配し、組織の整理統合を行って、2002年新生エジソン社を設立した。

 2011年時点で、電力部門ではイタリアの電力の15%を供給し、ギリシアでも子会社を通して、全体の電力の12%を供給している。天然ガスおよび原油生産部門では、イタリアのガス需要の19%以上を供給している。またガス・インフラ部門では、2009年にベネチア近郊のロビーゴ基地を設けて、天然ガスを輸入し、イタリアおよびその他ヨーロッパ各地へのパイプラインでの供給体制を構築している。2011年のグループ全体の売上高113億8100万ユーロ、税引前利益8億7100万ユーロの欠損、10か国、約3800人の従業員で活動している。

[湯沢 威]

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