日本大百科全書(ニッポニカ) 「モンテジソン」の意味・わかりやすい解説
モンテジソン
もんてじそん
Montedison S.p.A.
イタリアの巨大コングロマリットであったが、2002年、同社を含む4社が合併して、新たにエジソン社として再編された。
モンテジソン社は、1966年にモンテカチーニ社Montecatiniとエジソン社Edison(現在のエジソン社の前身)が合併して成立。モンテカチーニ社は1888年鉱山会社として出発し、第一次世界大戦中には非鉄、化学の事業分野、第二次世界大戦後には合繊、石油化学、アルミニウムなどの分野に進出した。ミラノ工科大学教授のG・ナッタが発明したポリプロピレンの製品化でも有名であった。他方、エジソン社は1884年に北西イタリアに創設された電力会社に起源をもつ。1962年の電力国有化法の成立によって、全国シェア約4分の1に及ぶ電力事業部門を政府に売却した。その後は、石油化学、合繊、鉄鋼などの部門で多角化を推し進めた。両社の大株主であるバストージ財閥が合併を推進し、1966年モンテカチーニ・エジソン社が成立、1969年に社名をモンテジソンに変更した。
1968年時点では、政府企業のENI(エニ)(炭化水素公社)およびIRI(イリ)(産業復興公社)が株式の18.4%を所有していたが、1969~1971年の深刻な経営危機に際して、筆頭株主のENIが1971年にチェフィスEugenio Cefis(1921―2004)を社長に派遣した。彼のもとで、不振部門の整理、経営の効率化が推進された。1981年に完全に民営化され、子会社への権限移譲など組織改編が積極的に進められた。1990年、アグリビジネスのフェルッチ・アグリコーラ・フィナンツィアーリア社Ferruzzi Agricola Finanziariaを買収し、農業金融部門の強化を図った。
傘下企業のうち、エリダニア・ベギン・セイ社Eridania Béghin-Sayは農工業分野(砂糖・デンプン・大豆製品・ペット飼料・オリーブ油など)の1998年の売上高が1兆9319億リラとなりヨーロッパ最大規模の企業となった。また、創立以来の歴史を受け継ぎ国内最大の民間電力供給事業を展開したエジソン社のほかに、化学分野でフッ素・炭化水素化合物を中心とした特殊化学製品やコンピュータ、宇宙航空産業のアウシモント社Ausimont、健康・医薬品部門を中心としたアンティビオティコス社Antibioticosなどがあった。
しかし、1999年の電力自由化により、電力・ガス市場での競争が激しくなり、業界の再編が急速に進展した。エレクトリシテ・ド・フランス(フランス電力Electricité de France:EDF)の買収攻勢に対して、イタリア政府が介入し、2001年に自動車会社のフィアット、鉄鋼メーカーのカルロ・タッサラCarlo Tassara、EDFなど6社によって構成された持株会社イタレネルジアItalenergiaが、モンテジソン社の株式の過半を支配した。2002年に、モンテジソン、エジソン、電力関連のソンデルSondelおよびフィアット・エナージアFiat Energiaが合併して、新会社エジソン社Edison S.p.A.が設立された。
[湯沢 威]