改訂新版 世界大百科事典 「エスチュアリー」の意味・わかりやすい解説
エスチュアリー
estuary
河川の下流部にある海の入江で,潮汐の影響をうけ,海水と淡水が出あい,混合する場所をいう。河口湾と訳される。一般に細長い漏斗状の形態をして,外洋に開口しているものと,出口に砂州があり部分的に閉ざされているものとがある。多くは最終氷期の海面が低かった時代にできた河谷が,後氷期の海面上昇によって溺れ谷となり,その後の堆積作用が相対的に弱いために埋積されず,河口部が水域のまま保持されている所である。テムズ川やエルベ川のように,水深が大きいために海上交通と内陸交通の接触点として重要な港湾施設が立地する所も多い。カナダのセント・ローレンス川の河口部が世界最大のエスチュアリーといわれている。
執筆者:米倉 伸之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報