改訂新版 世界大百科事典 「エスプロンセーダ」の意味・わかりやすい解説
エスプロンセーダ
José de Espronceda
生没年:1808-42
スペインのロマン主義を代表する詩人。革命的思想の持主で,若くして政治活動に参加。1826年国外に亡命し,ロンドンで彼の一生を左右する女性テレサ・マンチャを知る。またこの時期に,イギリス,フランスの詩に親しんだ。33年フェルナンド7世の死を契機に帰国し,急進的なジャーナリストとして活躍するが,〈海賊の歌〉〈乞食〉などの絶唱を含む《抒情歌集》(1840)を発表して詩人としての地位を確立した。代表作は〈ドン・フアン伝説〉をテーマにした長編物語詩《サラマンカの学生》(1839)とゲーテの《ファウスト》に想をえた《悪魔現世》であるが,後者は未完に終わった。彼の作品に見られる奔放なイメージ,多様な韻律による音楽性などは,感情過多,形式上の乱れといった欠点を補ってあまりある,まさにロマン主義的なものといえる。
執筆者:高橋 早代
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報