エルバ島(読み)エルバとう(英語表記)Elba

翻訳|Elba

精選版 日本国語大辞典 「エルバ島」の意味・読み・例文・類語

エルバ‐とう ‥タウ【エルバ島】

(エルバはElba) 地中海イタリア半島コルシカ島の間にある島。一八六〇年イタリアに帰属鉄鉱石を産し、ブドウ栽培と漁業が主。ナポレオンの流刑地として有名。

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デジタル大辞泉 「エルバ島」の意味・読み・例文・類語

エルバ‐とう〔‐タウ〕【エルバ島】

Elba》イタリア半島とコルシカ島との間にある島。イタリア領。1814年にナポレオンが流された地。面積223平方キロメートル。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルバ島」の意味・わかりやすい解説

エルバ島
えるばとう
Elba

イタリア中部、トスカナ州沖合い約12キロメートル、ティレニア海上に浮かぶ島。トスカノ諸島の主島。面積は、223.5平方キロメートルで、シチリア島、サルデーニャ島に次いで同国第3位。中心都市のポルトフェッライオ(人口1万0232、2001国勢調査速報値)は、本土のピオンビーノとフェリーで結ばれている。山がちの地形で、最高峰は標高1019メートルのカパンネ山。島の東部にはイタリア最大の鉄鉱石の鉱層が存在し、一部はポルトフェッライオで加工され、残りはピオンビーノやバニョーリ(ナポリ)の大製鉄所に送られてきた。しかし、長らく島の経済を支え続けた鉱山と製鉄業は、第二次世界大戦後とみに停滞し、かわりに観光業が著しく発展している。そのほか、アルコール度の強いぶどう酒の生産や漁業も重要である。

[堺 憲一]

歴史

古代から鉄鉱石の産地として知られ、ラテン語でイルウァIlvaとよばれた。西ローマ帝国の滅亡後、ランゴバルド人、アラビア人、ピサメディチ家、スペイン、ナポリのブルボン家などの支配を経て、1802年フランス領となる。1814年5月この地に流されたナポレオンに統治がゆだねられた。彼はこの地において約600人の手兵を準備したのち、1815年2月フランス本国に向けて出発し、百日天下を実現した。その後、ウィーン会議決定に基づいてトスカナ大公国に属したが、1861年にはイタリア王国領となった。

[堺 憲一]

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改訂新版 世界大百科事典 「エルバ島」の意味・わかりやすい解説

エルバ[島]
Isola d’Elba

イタリア中部,ティレニア海上のトスカナ諸島中最大の島。トスカナ州リボルノ県に属し,面積223.5km2,人口約2万8500(1978)。東西に長く山がちで,西部に最高峰カパンネ山(1019m)がある。温暖で,ブドウ,かんきつ類,オリーブの栽培,漁業のほか,近年は観光開発が著しい。南東部に産する鉄鉱石は,すでに古代からエトルリア人によって採掘が始められたもので,今日の産出量はイタリア全体の90%にのぼり,北岸にある中心都市ポルトフェライオで精製されるか,本土の製鉄所に送られる。エトルリア人,次いでローマ人が征服したこの島は,中世にはピサ,ジェノバに相次いで領有され,さらにスペイン,トスカナ大公国,ナポリ王国等,周辺の強国が支配を争った。1802年にフランス領となり,14年フランス皇帝を退位したナポレオンはこの島を領地として与えられたが,翌年脱出してフランスに戻り,百日天下を実現した。15年ウィーン体制でトスカナ大公国の領有に帰し,60年イタリア王国に統合された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エルバ島」の意味・わかりやすい解説

エルバ島
エルバとう
Isola d'Elba

イタリア西岸とコルシカ島の間にある島。トスカナ州リボルノ県に属し,本土のピオンビノの南西約 10kmに位置する。東部は黒雲母,片麻岩および石灰岩から成る。西部の最高点はカパンネ山地の 1018m。温暖な地中海性気候はオリーブ,ブドウ栽培に適している。漁業はカタクチイワシ,マグロが漁獲される。エトルリア時代から採掘されていた鉄鉱石は本土に最も近いポブロニアのエトラスカンで製錬。主要な都市は北海岸にあるポルトフェライオ。避暑地として知られるビラサンマルティノには博物館と美術館がある。製鉄業の衰退とともに観光事業が重要になっている。かつてナポリ王国に属し,1801~15年フランス領。ナポレオン流刑の島として有名。彼の住居パラツィーナディムリーニはポルトフェライオ近くの海岸にある。島はナポレオンのワーテルローでの敗北後,1815年フランスからトスカナ領に返還された。面積 223km2。人口2万 8907 (1984推計) 。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「エルバ島」の解説

エルバ島(エルバとう)
Elba

イタリア半島の西岸に近い地中海上の小島(イタリア領)で,鉄鉱石を産する。1814年に退位したナポレオン1世は,同年5月にこの島に流されたが,翌年2月にここを脱出して南フランスに上陸した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「エルバ島」の解説

エルバ島
エルバとう
Elba

イタリア半島西岸にある小島。イタリア領
1814年5月,ナポレオン1世がこの島に流刑された。しかし,彼は翌年2月に脱出,再起をはかったが,翌年ワーテルローの戦いに敗れ,百日天下に終わった。

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