翻訳|Elba
イタリア中部、トスカナ州の沖合い約12キロメートル、ティレニア海上に浮かぶ島。トスカノ諸島の主島。面積は、223.5平方キロメートルで、シチリア島、サルデーニャ島に次いで同国第3位。中心都市のポルトフェッライオ(人口1万0232、2001国勢調査速報値)は、本土のピオンビーノとフェリーで結ばれている。山がちの地形で、最高峰は標高1019メートルのカパンネ山。島の東部にはイタリア最大の鉄鉱石の鉱層が存在し、一部はポルトフェッライオで加工され、残りはピオンビーノやバニョーリ(ナポリ)の大製鉄所に送られてきた。しかし、長らく島の経済を支え続けた鉱山と製鉄業は、第二次世界大戦後とみに停滞し、かわりに観光業が著しく発展している。そのほか、アルコール度の強いぶどう酒の生産や漁業も重要である。
[堺 憲一]
イタリア中部,ティレニア海上のトスカナ諸島中最大の島。トスカナ州リボルノ県に属し,面積223.5km2,人口約2万8500(1978)。東西に長く山がちで,西部に最高峰カパンネ山(1019m)がある。温暖で,ブドウ,かんきつ類,オリーブの栽培,漁業のほか,近年は観光開発が著しい。南東部に産する鉄鉱石は,すでに古代からエトルリア人によって採掘が始められたもので,今日の産出量はイタリア全体の90%にのぼり,北岸にある中心都市ポルトフェライオで精製されるか,本土の製鉄所に送られる。エトルリア人,次いでローマ人が征服したこの島は,中世にはピサ,ジェノバに相次いで領有され,さらにスペイン,トスカナ大公国,ナポリ王国等,周辺の強国が支配を争った。1802年にフランス領となり,14年フランス皇帝を退位したナポレオンはこの島を領地として与えられたが,翌年脱出してフランスに戻り,百日天下を実現した。15年ウィーン体制でトスカナ大公国の領有に帰し,60年イタリア王国に統合された。
執筆者:萩原 愛一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
イタリア半島の西岸に近い地中海上の小島(イタリア領)で,鉄鉱石を産する。1814年に退位したナポレオン1世は,同年5月にこの島に流されたが,翌年2月にここを脱出して南フランスに上陸した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
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