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…その語義は〈エルゴンergon〉(仕事,活動,またはその成果,作品)から派生したもので,現に活動しているという動的な現実も,完成されてあるという静的な現実も示す。〈エンテレケイアentelecheia〉(完成態,完全現実態)とも事実上同義で多く互換的に用いられる。彼は技術による製作も自然界の生育も,ともに可能態=質料(素材)から目的としての現実態=形相への移行としてとらえる。…
…このように物理的化学的説明を認めたうえでなお生物独自の原理を主張する立場を〈新生気論〉といい,この立場をとるラインケJohannes Reinke(1849‐1931)らの生物学者は〈ケプラー連盟〉を結成してE.H.ヘッケルの〈一元論者連盟〉に対抗した。ドリーシュのエンテレヒー概念はアリストテレスのエンテレケイアentelecheiaから借りたものであるが,それは秩序を制御するものであって,今日の情報概念に近く,過去の生気論も情報という観点から再評価されつつある。【坂本 賢三】。…
… このように,プラトンが〈形相‐質料〉という静態的カテゴリーでとらえていた世界を〈可能態‐現実態〉という動的カテゴリーでとらえなおすことによって,アリストテレスはプラトンのイデア論を修正し,それをギリシアの伝統的なフュシス的存在理解と調停しようとしたのである。しかし彼もすべての存在者の合目的的運動の終局(テロスtelos)にあってその運動を導く最高目的として,もはやおのれのうちにいかなる可能性をも残さず,すべての可能性が現実化された〈完全現実態(エンテレケイアentelecheia=テロスに達した状態)〉である〈純粋形相〉つまり超自然的な〈神〉を想定し,それによって世界の存在を基礎づけようとする以上,最終的にはやはりプラトンの形而上学的思考様式を継承していると見られよう。ところで現実態を意味する〈エネルゲイア=エルゴンergon(作品・成果・能力の発現)に達した状態〉は中世のスコラ哲学のもとでactualitasとラテン訳され,さらにこれが近代のドイツ哲学ではWirklichkeitと訳されることになる。…
※「エンテレケイア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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