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質料 しつりょうhylē; materia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

質料
しつりょう
hylē; materia

一般に物質であるが,質料と訳されるときには形相の対概念として特別な意味をもつ。質料形相論の確立者はアリストテレスであるが,手仕事を土台に考えており,質料と形相はそれぞれ素材と形に対応する。すでにプラトンは相対的非存在で形がない物体の母としての質料を考えていたが,アリストテレスはこれを可能的な存在で無規定的なもの,形相による規定を受入れる原理とした。質料も形相も相対的概念であり,木は材木の質料だが材木も家の質料となる。すべてのものはより高次なものの質料である。これらをすべて第2質料と呼び,その根底にいかなる形成も受けていない純粋な質料を想定して第1質料と呼ぶ。質料は偶然的,非論理的なものの原理でもあり,アビセンナはこれを個体化の原理とした。これを受けて,論理的に検討を加えたトマスは,指定質料 materia signataをこの原理とした。

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デジタル大辞泉の解説

しつ‐りょう〔‐レウ〕【質料】

《〈ギリシャ〉hylē/〈ラテン〉materia/〈英〉matter》素材の意。アリストテレス以来、形相と相関的に用いられる。例えば、家の機能や構造上の形式が形相で、その素材となる木材は質料。ヒュレー。⇔形相

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百科事典マイペディアの解説

質料【しつりょう】

ギリシア語ヒュレ,ラテン語materia,英語matterなどの訳。形相イデア,エイドス)に対する。プラトンでは,イデアによって形や構造を与えられる無機的素材,アリストテレスでは可能性(デュナミス)としての素材,材料であり,形相によって限定されることで現実性(エネルゲイア)をもつ。
→関連項目唯物論

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大辞林 第三版の解説

しつりょう【質料】

ある形式を備えたものの材料・素材となるもの。アリストテレス以来、形相と相関したものとして用いられ、例えば家の機能や構造形式が形相で、その素材である木材が質料。個々の現実に存在するものは、形相が質料を限定することで成り立つ。ヒュレー。 ↔ 形相

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

質料
しつりょう
hlギリシア語

アリストテレスの基本用語の一つ。[編集部]

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世界大百科事典内の質料の言及

【悪】より

…一つはプラトンの宇宙形成説に近い考え方である。プラトン哲学では形相と質料の二元論をとる。形相はもののかたちにみられる理念であり,霊的要因を示す。…

【エネルゲイア】より

…〈エンテレケイアentelecheia〉(完成態,完全現実態)とも事実上同義で多く互換的に用いられる。彼は技術による製作も自然界の生育も,ともに可能態=質料(素材)から目的としての現実態=形相への移行としてとらえる。またその移行である〈動〉(運動,変化)そのものは,〈動かされうるものの動かされうるという資格での現実態〉と定義され,最終的な完成にいたっていないという意味で〈不完全な現実態〉とも呼ばれる。…

【西洋哲学】より

…このイデアは生成消滅するフュシスを超越して,永遠に同一でありつづける超自然的超時間的存在者である。そして,プラトンの考えでは,すべての存在者は〈形相(エイドスeidos)〉と〈質料=素材(ヒュレhylē)〉の結合体なのであるが,その存在者の〈何であるか〉を規定するのは,イデアを分有し,いわばその模像である形相である。したがって,存在者の〈何であるか(本質)〉はそれ自体では変化をまぬがれており,生成消滅するのはその質料的部分だということになる。…

【物質】より

…matterはラテン語のmateriaが語源であり,この語は本来は〈木の幹〉,つまり文字どおり〈素材〉(家を造る材木)を意味していたが,転じて,さまざまなものの材料一般を指すようになった。ギリシアでの〈質料hylē〉に相当し,motherも派生語の一つ。したがってもともと哲学的な議論を背景にして成立した概念といえる。…

【唯物論】より

…一般に,唯心論,観念論に対して世界の根本的原理ないし実在を物質とみなす立場をいう。原語は,〈木材〉〈素材〉〈質料〉〈物質〉の意味のラテン語materiaにさかのぼるが,materia自身,〈母〉を意味するギリシア語mētēr,ラテン語materに由来し,かつギリシア語で〈形相〉〈形式〉に対して〈質料〉〈素材〉の意味をもつhylēのラテン語訳として用いられた。原語は17世紀の成立で,materialistという言葉はH.モアやR.ボイルさらにライプニッツによって使用された。…

※「質料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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