日本大百科全書(ニッポニカ) 「エーブリー」の意味・わかりやすい解説
エーブリー
えーぶりー
Oswald Theodore Avery
(1877―1955)
アメリカの分子生物学者・細菌学者。イギリスから移民した牧師を父に、カナダのハリファックスに生まれる。コルゲート大学、コロンビア大学医学部卒業。ホーグランド研究所を経て、1913~1948年ロックフェラー病院の呼吸器病研究部に勤める。主として肺炎双球菌の研究を行ったが、その内容は多方面にわたっている。伝染病の問題から出発し、免疫学的な研究を行い、細菌の病原性と莢膜(きょうまく)とよばれる外被膜の存在との関係、莢膜の化学組成による免疫学的特異性などをみいだした。また、グリフィスFrederick Griffith(1879―1941)が1928年に発見した肺炎双球菌の形質の転換現象に注目し、1932年ころより、この転換物質を分離する試みを行い、1944年これがDNA(デオキシリボ核酸)であると発表した。これは遺伝子がDNAであることを示す最初の重要な結果であった。
[石館三枝子]