改訂新版 世界大百科事典 「オオミミギツネ」の意味・わかりやすい解説
オオミミギツネ (大耳狐)
bat-eared fox
Otocyon megalotis
昆虫を主食とする食肉目イヌ科の哺乳類。アフリカの東部(エチオピアからタンザニアまで)と南西部(ナミビアと南アフリカ)の草原に分布。体長50~70cm,尾長25~35cm,体重2.5~5kg,名のように耳介は異常に大きく10cm前後。体の上面は灰褐色,尾と四肢の前・外面,顔は黒褐色。一見キツネに似るが頭が小さいほか,臼歯(きゆうし)が上下とも1~2対多く,歯の総数はキツネ,タヌキ,イヌなどイヌ科動物の大多数のものが42本なのに対し46~50本ある。ためにかつては特別の亜科に分類されていたが,頭骨その他はタヌキ,ヤブイヌなどに似ており,これらに近縁の原始的なイヌ科動物と考えられる。自分で掘った穴に1対ですみ,夜間出歩いておもにシロアリ,イナゴその他の昆虫を捕食するが,ネズミ,小鳥,トカゲ,液果なども食べる。妊娠期間は約2ヵ月,南アフリカでは3~4月に2~5子を生む。寿命は約13年。原住民は肉を食用に,毛皮を女性の頭飾にする。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報