オクジャワ(その他表記)Bulat Shalvovich Okudzhava

デジタル大辞泉 「オクジャワ」の意味・読み・例文・類語

オクジャワ(Bulat Shalvovich Okudzhava)

[1924~1997]ソ連ロシア詩人・小説家。ジョージアグルジア)人を父、アルメニア人を母としてモスクワに生まれる。反戦と社会風刺をうたう自作詩に曲をつけ、ギターの弾き語りで発表し一世を風靡ふうびした。詩集「島」、歴史小説「シーポフの冒険」、自伝的長編「閉鎖された劇場」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「オクジャワ」の意味・わかりやすい解説

オクジャワ
Bulat Shalvovich Okudzhava
生没年:1924-97

ソ連邦・ロシアの詩人。グルジア人,アルメニア人の父母のあいだにモスクワで生まれる。18歳で学徒兵として第2次大戦に従軍。スターリン批判後に詩人としてデビュー,自作詩をギターにあわせて歌う〈吟遊詩人〉としても有名。処女詩集《抒情詩》(1956)ほか,《島》(1959),《陽気な鼓手》(1964)など,抒情性と軽妙な風刺,哀感にあふれる詩作品で知られる。また戦争体験をもとにした中編《学徒兵よ,達者で》(1961)以来,散文ジャンルにも活躍,代表作に歴史小説《哀れなアブラシーモフ》(1969),《メルシー,あるいはシーポフの冒険》(1971),《ディレッタントの旅》(1978)などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オクジャワ」の意味・わかりやすい解説

オクジャワ
おくじゃわ
Булат Шалвович Окуджава/Bulat Shalvovich Okudzhava
(1924―1997)

ロシアの詩人。モスクワ生まれ。第二次世界大戦に学徒兵として参加、負傷して復員後、トビリシ大学に学び、教員生活を経て、1956年に詩集『叙情詩』で文壇に登場。詩、小説その他多彩なジャンルにわたり活躍を続けた。戦争のテーマや、日常生活の哀感と詩情リリカルに歌った叙情詩に優れ、またギターを弾きながら自作詩を朗読する現代詩人の草分け的存在でもあった。代表的詩集に『島』(1959)、『陽気な鼓手』(1964)、『心ひろき三月』(1967)などがある。また戦争体験をつづった小説『少年兵よ、達者で』(1961)以後、歴史小説に意欲的に取り組み、『哀れなアブラシーモフ』(1969)、『ディレッタントの旅』(1979)などの作品を発表。1994年には、ソ連邦崩壊後ロシアでもっとも権威のある文学賞である「ロシア・ブッカー賞」の第3回受賞者となった(『閉鎖された劇場』)。1989年(平成1)初来日、レコード『ブラート・オクジャワ/青い風船』が発売された。

[安井侑子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オクジャワ」の意味・わかりやすい解説

オクジャワ
Okudzhava, Bulat Shalvovich

[生]1924.5.9. モスクワ
[没]1997.6.12. オードセーヌ,クラマール
ソ連,ロシアの詩人,作家。自作の詩をギターに合せて歌い,現代のプレベールといわれ,民衆詩人として愛された。処女詩集『抒情詩』 Lirika (1956) や,『島々』 Ostrova (59) ,『寛大な3月』 Shchedry mart (67) などの詩集がある。 1960年代頃から小説や映画の脚本にも手を染め,『少年兵よ,達者で!』 Bud' zdorov,shkolyar! (61) は新しい戦争文学として評価が高い。ほかに『哀れなアブロシーモフ』 Bedny Abrosimov (69) などの歴史小説がある。

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百科事典マイペディア 「オクジャワ」の意味・わかりやすい解説

オクジャワ

ロシア(ソ連)の詩人。ジョージア人とアルメニア人を父母に持つが創作はロシア語で行う。自作詩をギターで弾き語る,現代ロシア〈吟遊詩人〉の第一人者。軽妙な風刺と哀感にあふれる作風で,特に若い世代の圧倒的支持を得る。小説家としても活躍し,自伝的中編《少年兵よ,達者で》(1961年),歴史小説《シーポフの冒険,あるいは今は昔のボードビル》(1971年),同じく《ディレッタントの旅》(1978年)などがある。

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