オグルマ(その他表記)Inula japonica Thunb.

改訂新版 世界大百科事典 「オグルマ」の意味・わかりやすい解説

オグルマ
Inula japonica Thunb.

整然と放射状に出る舌状花の形を小さな車に見立てて名づけられたキク科多年草。園芸品として舌状花が八重になったヤエオグルマが栽培されている。日本各地,極東アジアに分布し,野原田畑などの湿った場所に生え,地下茎をのばしてふえる。茎は高さ30~60cmで直立する。茎葉は柄がなく,半ば茎を抱き互生する。夏から秋にかけて黄色の花が開く。花は舌状花と筒状花とからなる頭花で,直径は3~4cm。総苞は半球形で,長さ7~8mm,総苞片は5列でやや同長である。開花時に根出葉および下部の葉は枯れている。ヨーロッパ産のヨウシュオグルマI.britannica L.と亜種関係にあるとする意見もある。同属のものとして日本には葉の脈が目だつカセンソウI.salicina L.と,花時にも根出葉のあるミズギクI.ciliaris(Miq.)Maxim.がある。いずれもよく似た花をつける。この仲間は切花や花壇用に栽植されるだけでなく,ヨーロッパや中国では薬用とされ,若芽は食べられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オグルマ」の意味・わかりやすい解説

オグルマ(小車)
オグルマ
Inula britannica var.japonica

キク科の多年草。日本全土,アジア東部に分布し,平地の湿った場所に生える。茎は高さ 20~60cm,地下茎を伸ばして盛んに繁殖する。葉は無柄で互生し,長さ5~10cmの広披針形で縁に低鋸歯がある。下部の葉は花時に枯れる。7~10月,茎上部で分枝し,先端に径 3cmほどの黄色の頭花を開く。総包は半球形で総包片鱗状に5列並ぶ。舌状花は長さ 1.6~1.9cmで放射状に1列に開き,先端が3浅裂する。痩果は 10本の線があり,長い冠毛をもつ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オグルマ」の意味・わかりやすい解説

オグルマ
おぐるま / 小車
[学] Inula britannica L. subsp. japonica (Thunb.) Kitam.

キク科(APG分類:キク科)の多年草。茎は直立し、高さ20~60センチメートル。茎葉は多数あり、柄がなく互生する。根出葉は小形で、茎下部の葉とともに花期には枯れている。7~10月、茎の先に数個の花をつけて開く。花は舌状花と筒状花からなる頭花で、黄色。開花直径は3~4センチメートル。名は、この花を小さな車に見立てたもの。湿地や田の縁(へり)、川岸に生え、北海道から九州、さらに朝鮮、中国に分布する。線形または線状披針(ひしん)形の葉をもつ変種をホソバオグルマという。また、園芸品種としては筒状花が弁化している八重咲きのものをヤエオグルマとよんでいる。

[小山博滋 2022年2月18日]

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百科事典マイペディア 「オグルマ」の意味・わかりやすい解説

オグルマ

キク科の多年草。北海道〜九州,東アジアの暖〜温帯に分布し,湿地や川岸等にはえる。茎は高さ20〜60cm,根出葉および下部の葉は花時には枯れ,葉脈は目だたない。頭花は黄色で径3〜4cm,舌状花と筒状花からなり,夏〜秋に開花する。八重咲の園芸品がある。

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