ロシアの小説家、哲学者。公爵。詩人A・オドエフスキーの従弟(いとこ)。初期の作品には『公爵令嬢ミミ』(1834)などの上流階級を批判的に扱った小説を、中期には幻想的な小説を書いた。シェリングやドイツ・ロマン派の影響のもとに、自然を一つの完全な統一体として把握しようと試みた。哲学的対話を中心とする短編集『ロシアの夜』(1844)が代表作。哲学史的には、スラブ派(スラボフィル)の先駆者として重要である。
[灰谷慶三]
ロシアの詩人。公爵。ペテルブルグ生まれ。劇作家グリボエードフと作家V・オドエフスキーの従兄(いとこ)。レールモントフとも親交があった。1825年のデカブリストの蜂起(ほうき)に参加してシベリアへ流刑となり、のちカフカスへ移され、一兵卒として勤務中にマラリアで死んだ。その作品には、失敗に終わったデカブリスト運動の歴史的意味づけや、一般的歴史過程の道徳的・哲学的考察を含んだロマン主義的叙情詩が多い。それらは、いずれも流刑生活の悲しみや悲運の思いを映し出している。なかでも、デカブリストを勇気づけようとしたプーシキンの詩『シベリアへ』にこたえた詩『プーシキンに答える』(1827)が有名である。
[灰谷慶三]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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