オドエフスキー(読み)おどえふすきー(英語表記)Александр Иванович Одоевский/Aleksandr Ivanovich Odoevskiy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オドエフスキー」の意味・わかりやすい解説

オドエフスキー(Vladimir Fyodorovich Odoevskiy)
おどえふすきー
Владимир Фёдорович Одоевский/Vladimir Fyodorovich Odoevskiy
(1803―1869)

ロシア小説家、哲学者。公爵詩人A・オドエフスキー従弟(いとこ)。初期の作品には『公爵令嬢ミミ』(1834)などの上流階級を批判的に扱った小説を、中期には幻想的な小説を書いた。シェリングドイツ・ロマン派の影響のもとに、自然を一つの完全な統一体として把握しようと試みた。哲学的対話を中心とする短編集『ロシアの夜』(1844)が代表作。哲学史的には、スラブ派スラボフィル)の先駆者として重要である。

[灰谷慶三]


オドエフスキー(Aleksandr Ivanovich Odoevskiy)
おどえふすきー
Александр Иванович Одоевский/Aleksandr Ivanovich Odoevskiy
(1802―1839)

ロシアの詩人。公爵。ペテルブルグ生まれ。劇作家グリボエードフと作家V・オドエフスキーの従兄(いとこ)。レールモントフとも親交があった。1825年のデカブリスト蜂起(ほうき)に参加してシベリア流刑となり、のちカフカスへ移され、一兵卒として勤務中にマラリアで死んだ。その作品には、失敗に終わったデカブリスト運動の歴史的意味づけや、一般的歴史過程の道徳的・哲学的考察を含んだロマン主義的叙情詩が多い。それらは、いずれも流刑生活の悲しみや悲運の思いを映し出している。なかでも、デカブリストを勇気づけようとしたプーシキンの詩『シベリアへ』にこたえた詩『プーシキンに答える』(1827)が有名である。

[灰谷慶三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オドエフスキー」の意味・わかりやすい解説

オドエフスキー
Odoevskii, Aleksandr Ivanovich

[生]1802.12.8. ペテルブルグ
[没]1839.8.27. カフカス,プセズアペ
ロシアの詩人。古い公爵家に生れたが,農奴制と専制政治に反対して,1825年のデカブリストの反乱に積極的に参加。逮捕されてシベリアへ流刑,12年間の強制労働に従事。その後一兵卒としてカフカスの守備隊に配属されたが,同地で病没。彼の詩は自由を求めるパトスによって貫かれており,A.プーシキンの『シベリアへ送る詩』B Sibir'に答えて,徒刑地のデカブリストを代表して書き送った『プーシキンへの答礼』 Otvet na poslanie Pushkina (1827) は特に有名。ほかに『詩人の夢』 Son poeta (26) ,『ゾシマ』 Zosima (27~29) ,『追悼』 Trizna (28) などがある。

オドエフスキー
Odoevskii, Vladimir Fëdorovich

[生]1804.8.13. モスクワ
[没]1869.3.11. モスクワ
ロシアの小説家,音楽評論家。モスクワ大学に学び,在学中からシェリング,ホフマンらの影響を受け,哲学的,空想的,美学的小説を書いた。そのおもなものに,中編『公爵令嬢ジジ』 Knyazhna Zizi (1839) ,『公爵令嬢ミミ』 Knyazhna Mimi (34) ,『シリヒーダ』 Sil'fida (37) などを収めた著作集『ロシアの夜』 Russkie nochi (44) がある。音楽評論家としては,M.グリンカの歌劇やロシア民謡などを西ヨーロッパ音楽と美学的に比較しながら論じて,ロシア音楽の発達に貢献した。

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