日本大百科全書(ニッポニカ) 「オプトアウト」の意味・わかりやすい解説
オプトアウト
おぷとあうと
opt-out
原則自由にしておき、問題がある場合にだけ禁止・規制するという概念。一方、原則として禁止・規制しておき、支障や問題がない場合にだけ例外的に認めることをオプトインopt-inとよぶ。オプトアウトopt-outはopt(英語で「選択する」の意)にoutを組み合わせた造語で、当事者が「拒否」を選択した場合を除き、経済行為や権利行使を広く自由に認める、という意味で使われる。インターネットの普及に伴い、メール送信や個人情報保護に関連して使われることが多いが、経済、司法、医学・生理学、社会など幅広い分野で用いられる。
広告・宣伝メールの送信の場合には、拒否の意思を明示した消費者を除き、不特定多数の消費者にかってにメールを送る「オプトアウト方式」と、事前に同意した消費者にのみメールを送信する「オプトイン方式」がある。日本では、迷惑メール問題に対処するため、当初、迷惑メール防止法(「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」)および特定商取引法(「特定商取引に関する法律」)やその施行規則は、受信拒否連絡があった場合のみ送信を禁止するオプトアウト方式をとっていた。しかしほとんど効果がなく、2008年(平成20)の両法律の改正で、事前に同意した人にしかメールを送信できないオプトイン方式に規制が強化された。
アメリカ検索大手グーグル社Google Inc.は公道周辺の景色を公開する「ストリートビュー」サービスを提供しており、公開を拒否する人が申し出れば削除するが、それ以外はすべての風景画像を公開する「オプトアウト方式」で運営している。これに対し、許可なく自宅の画像が不特定多数に公開されるのはおかしいとして、許諾を得た画像のみの公開にとどめる「オプトイン方式」にすべきだとの意見がある。
医学・生理学の分野では、臓器移植にあたって、生前、本人が臓器提供をはっきりと拒否していた場合のみ、臓器の摘出を断念する「オプトアウト型」と、本人が臓器提供を明確に認めている場合だけ臓器の摘出を認める「オプトイン型」がある。フランス、スペイン、シンガポールなどの臓器移植法はオプトアウト型であるが、日本、アメリカ、イギリス、ドイツなどの臓器移植法はオプトイン型となっている。
司法関係では、利害関係者が多数に上る集団訴訟が和解にいたった場合、和解からの離脱を申告しない限り、全員が和解に合意したとみなす「オプトアウト方式」と、和解に合意の意思表示をした場合のみ和解合意とみなす「オプトイン方式」がある。
[編集部]