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オリエント神話 オリエントしんわ Near Eastern mythology

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

オリエント神話
オリエントしんわ
Near Eastern mythology

古代オリエント世界,すなわち現在のイランイラクトルコシリアヨルダンイスラエルアラビア半島諸国,およびエジプトにまたがる中東地域で成立し伝えられてきた神話。この地域では新石器時代初頭に定住農耕社会が出現し,地域共同体としての祖霊崇拝や祭祀が発達すると同時に,農耕や牧畜の豊饒を祈る地母神崇拝も行われた。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

オリエント神話
おりえんとしんわ

オリエント地方に伝わる神話。今日オリエントという呼称に含まれる地域としては、メソポタミア、エジプト、およびその周辺地域であるイラン、小アジアパレスチナ、南アラビアエチオピアが数えられる。この地域は、紀元前数十世紀にまでさかのぼる発達した文明をもち、各種の文字によって記された文書を残しているが、これらの文字や文書は近代になって解読されるまで忘れ去られていた。しかしその多くが解読されて文書の内容が知られるようになると、古代人の精神生活もかなりの程度まで理解されるようになった。また古代オリエントの伝統は、ユダヤ教イスラム教キリスト教文書のほか、アベスタ教、ゾロアスター教文書などにもいろいろの形で伝えられている。古代オリエントでは多神教が行われており、それらの神々にまつわる物語やエピソードは神話とよべるが、ここでの神々はしばしば厚い信仰の対象であってみだりにその名を口に出せないような存在であった。そのため、それらの神々にまつわる物語などは、断片的にしか伝えられていない場合が多い。
 メソポタミアでは、シュメール人のもとで生じた神話の原型が、バビロニア、アッシリア人のもとへ伝えられて物語としての性格が増大したという例がみられる。のちに『旧約聖書』のノアの話に発展する「大洪水物語」、バビロニア、アッシリアで長編の物語にまとめられる半神半人の「ギルガメシュ神話」、およびエンキドゥにまつわる神話群、地母神と少年神を主人公とする「タンムーズ神話」などがそれである。またメソポタミア神話群は、周辺のヒッタイト(小アジア)、ウガリト(パレスチナ)にも影響を与えており、とくに「タンムーズ神話」には種々の変形がある。メソポタミアでは長い間楔形(くさびがた)文字の粘土書板が使用されていたが、これらは耐久性があるので、今後も数多くの神話文書が発見される可能性がある。一方、エジプトでは、ヒエログリフ(象形文字)によって多くの宗教文書が書き残されたが、神話とよべるべきものはきわめて少ない。代表的な「オシリス神話」は、主としてギリシアの著述家プルタルコスによって伝えられているが、ここにみられる兄弟神オシリスとセトの争い、オシリスの妻イシスとその子ホルスをめぐる物語は、各種の宗教文書の中心的主題となっている。なお『死者の書』には、この種の神話が雑然と入れられており、『二人兄弟の物語』のような文学作品に反映がみられる。[矢島文夫]

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