フランスのパリで発達した,服飾品のデザインと仕立てを行う高級衣装店。デザインの独創性,高度な技術,高価さで知られる。ルイ16世の王妃マリー・アントアネットの宮廷デザイナーとして知られたローズ・ベルタンが,1773年からフランス革命時まで店を構え,貴族女性の衣服を作ったことに由来する。しかし,近代のオート・クチュールは,1858年,パリに店を開いてナポレオン3世の皇后ウジェニーのデザイナーとなったイギリス人,C.F.ワースに始まる。彼によって婦人服デザインに男が加わり,それまでの人形(ファッション・ドール)に代わって人間のファッションモデル(マヌカン)を採用し,初めてのファッションショーが催された。また,客の方から店に来て注文するという方法がとられ,西欧の上流階級の女性たちが競って顧客となった。20世紀に入ると,P.ポアレ,G.シャネル,E.スキャパレリなどが続出,映画,演劇の衣装部門でも活躍した。1911年にオート・クチュール組合が結成され,以後この組合の加盟店を指すことになる。20年代から30年代にかけて創造性,機能性,美しさにおいて優れた作品が生まれ,現代ファッションを生み出す役割を果たした。第2次大戦後,ディオールの〈ニュー・ルック〉発表を契機に,より活発になり,サン・ローラン,M.ボアンなどの新進デザイナーが活躍する。60年以後はオート・クチュールも注文服のほかにプレタポルテ(既製服)が経営の重要な部門になる。日本ではカルダンと高島屋が60年に提携して以来,パリのファッションが一般に知られるようになり,デザイナーの名前も一般化してきた。
執筆者:池田 孝江
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