カチン族(読み)カチンぞく(その他表記)Kachin

精選版 日本国語大辞典 「カチン族」の意味・読み・例文・類語

カチン‐ぞく【カチン族】

  1. 〘 名詞 〙 ( カチンはKachin ) チベット‐ビルマ系の民族。人種的にはパレモンゴリーデに属し、ミャンマー(旧ビルマ)北部インドアッサム州および中国雲南省分布

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「カチン族」の意味・わかりやすい解説

カチン族 (カチンぞく)
Kachin

おもにミャンマーの山地に住む少数民族のひとつ。自称はジンポーJinghpawまたはチンポーChingpaw。中国では景頗族と呼ばれる。おもな居住地域は,ミャンマーのカチン州とシャン州の北部で,中国の雲南省やインドのアッサム州にも住む。言語的にはチベット・ビルマ語族に属し,豊富な接頭辞の体系をもつ。語順はビルマ語同様,主語-目的語-動詞の順に並ぶ。カチン族の中には,ジンポー族のほか,マル,ラシ,アツィなどの種族が含まれる。社会構造的には,世襲的首長ドゥワ)が支配するグムサ社会と,住民によって首長が選出されるグムラオ社会とに分かれる。どの家庭にも祭壇があり,先祖の霊を祀っている。父系制社会で,子供たちは父方の姓を継ぐ。居住形態も夫方居住である。家督,祭祀,財産のすべてが,男の末子によって相続される。家屋は高床式で長方形をしている。おもな生業は農業で,平地では水田耕作,山地では焼畑耕作を行う。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カチン族」の意味・わかりやすい解説

カチン族
カチンぞく
Kachin

自称チンポー (景頗) 族 Chingpo。北東ミャンマー,北東アッサム,中国雲南省デホンタイ族チンポー (景頗) 族自治州のタンルウィン川 (怒江) 流域に居住する民族。言語はチベット=ビルマ語族に属し,形質的には古モンゴロイドである。人口は中国領に約 10万,その他ミャンマーを中心に約 60万と推定される。焼畑耕作により陸稲,とうもろこし,粟,そばを栽培し,おもに山地に住む。周辺の渓谷に住むシャン族ビルマ人とは,経済的,文化的に共生関係をもつ。末子相続が行われ,かつ父系氏族組織をもち,各氏族は首長を有し,一定の領域を支配する。階層差のない民主的村落もあるが,貴族,平民,奴隷の階級がみられるところもある。宗教は精霊信仰が盛んである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android