デジタル大辞泉
「らし」の意味・読み・例文・類語
らし[助動]
[助動][○|○|らし|らし(らしき)|らし|○]活用語の終止形、ラ変型活用語の連体形に付く。
1 客観的な根拠・理由に基づいて、ある事態を推量する意を表す。…らしい。…に違いない。
「もえわたる草木もあらぬはるべには山辺に急ぐ鹿ぞ踏むらし」〈宇津保・春日詣〉
2 根拠や理由は示されていないが、確信をもってある事態の原因・理由を推量する意を表す。…に違いない。
「水底の月の上より漕ぐ舟の棹にさはるは桂なるらし」〈土佐〉
[補説]語源については「あ(有)るらし」「あ(有)らし」の音変化説などがある。奈良時代には盛んに用いられ、平安時代には1の用法が和歌にみられるが、それ以後はしだいに衰えて、鎌倉時代には用いられなくなった。連体形・已然形は係り結びの用法のみで、また奈良時代には「こそ」の結びとして「らしき」が用いられた。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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らし
- 〘 助動詞 〙 ( 活用は「〇・〇・らし・らし・らし・〇」。ラ変動詞・形容詞(カリ活用)・形容動詞およびラ変型の活用をする助動詞には連体形、右以外の動詞・助動詞には終止形に付く。推量の助動詞。語形変化をしないが、「ぞ」「こそ」の結びとしての用法があるのでそれぞれ連体形・已然形も「らし」とする。上代では、「こそ」の結びは「らしき」で、普通にはこれを形容詞の形に照らして、連体形とする。確定的な事実に対する推量を表わすが、思いをめぐらして想像するといったものではなく、事実に対する志向作用を表わす。そこで「らし」の表わす推量を特に「推定」と呼ぶことが多い )
- ① 根拠を示し、現実の状況を推定する意を表わす。
- (イ) 根拠と事実とを二文または条件句などを用いて示す場合。
- [初出の実例]「浅茅原 小谷を過ぎて 百(もも)伝ふ 鐸(ぬて)ゆらくも 置目(おきめ)来(く)良斯(ラシ)も」(出典:古事記(712)下・歌謡)
- (ロ) 根拠と事実とを係助詞「は」などを介して一文で表わす場合。
- [初出の実例]「縄の浦ゆそがひに見ゆる沖つ島こぎみる舟は釣しす良下(ラしも)」(出典:万葉集(8C後)三・三五七)
- ② 確定的な事実の原因・理由を推定する意を表わす。
- [初出の実例]「汝(な)が御子や 遂に知らむと 雁は卵産(こむ)良斯(ラシ)」(出典:古事記(712)下・歌謡)
- ③ 原因や根拠などにかかわらず、ある事柄について推定する意を表わす。
- [初出の実例]「古の七の賢しき人たちも欲りせしものは酒にしある良師(ラシ)」(出典:万葉集(8C後)三・三四〇)
らしの語誌
( 1 )語源については、「あり」を形容詞化した「あらし」とする説、「あるらし」「けるらし」「なるらし」の縮約形とする説などがあるが、未詳。
( 2 )上代では、確定的な事実に対する推量であるが、「疑」字を「らし」と読む場合もある。
( 3 )中古には、疑問表現を受ける例も現われ、確定的な事実ばかりでなく、未定の事実も対象とするようになった。
( 4 )中古半ばには、すでに古語(歌語)であり、現代語の助動詞「らしい」は、近世以後成立した別語である。しかし、意味の上ではかなり近い。
ら
し
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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ラシ
Rashi
生没年:1040-1105
中世フランスのユダヤ教徒の聖書・タルムード学者。ラシはRabbi Shelomo ben Isaacの略。シャンパーニュ地方のトロアに生まれ,マインツとウォルムスに学んだが,25歳でトロアに帰り,ここを中世ユダヤ教学の中心にした。言語学的解説を基礎とするラシの聖書とタルムードの注解書は,今日までユダヤ教徒の間で長く用いられてきた。12~14世紀に活動したラシ学派の学者は,ラシの注解書の追加者(トサフィスト)と呼ばれた。
執筆者:石田 友雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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ラシ
Rashi; Rabbi Shelomoh ben Isaac
[生]1040. トロア
[没]1105.7.13. トロア
ユダヤ教学者,タルムードと聖書の注解者。短期間ウォルムスとマインツ・アカデミーで学んだ。 1096年の第1次十字軍の余波によってドイツのラビ学が崩壊すると,彼の注解は多くの人々に求められ,北フランス,シャンパーニュのトロアはラビ学の一大中心地となった。口伝によるユダヤ学を筆記する方法を導入して成果をあげ,門下から多くの逸材を出した。『モーセ五書注解』は特に著名で,リラのニコラウスを通してキリスト教世界にも影響を及ぼした。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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