改訂新版 世界大百科事典 「カバノキ科」の意味・わかりやすい解説
カバノキ[科]
hazelnut family
Betulaceae
双子葉植物,北半球の温帯を中心にシラカバやシデ類(クマシデ)など6属約100種を有する。大部分の種は早春,葉の開出に先だって,開花する。落葉の高木,低木または灌木。葉は単葉で互生し,縁には重鋸歯がある。托葉はあるが,早落性。花には雄花と雌花があり,別々の花序につく。雄花序は長い尾状花序となって垂れ下がり,風に吹かれて花粉を散らす。雄花には花被のあるもの(カバノキ亜科)と,花被がなく苞葉の上におしべがつくもの(ハシバミ亜科)とがある。雌花は多くは多数集まり,尾状または球果状の花序となるが,ハシバミのように少数花のものもある。開花時には,赤い花柱のみが見える。果実はハシバミ属は大型でどんぐり様となるが,たいていは小型で,多数集まり球果となる。ブナ科に近縁であるが,果実には殻斗を有しない。
シデ類やアサダの材は器具,家具などに,シラカバなどの柔らかい材は民芸品やマッチの軸木,パルプなどに用いられる。ハシバミ属の果実は食用となる(ヘーゼルナッツ)。根粒をもつヤシャブシ類は裸地斜面の砂防用に植えられる。
執筆者:岡本 素治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報