日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダケカンバ」の意味・わかりやすい解説
ダケカンバ
だけかんば / 岳樺
[学] Betula ermanii Cham.
カバノキ科(APG分類:カバノキ科)の落葉高木。樹皮に字が書けることからソウシカンバ(草紙樺)ともいう。高さ25メートルに達する。樹皮は灰白色または灰褐色で、薄く紙状にはげるが、老樹になると粗く割れる。小枝は紫褐色で光沢がある。葉は長卵形で長さ5~10センチメートル、縁(へり)に深く切れ込む鋸歯(きょし)があり、側脈は7~12対。雌雄同株。雄花序は前年の秋に長枝の先端につき、5月ころ、下垂して開花する。雌花序は春に短枝の先につき、秋に円柱状の果序となって直立し、冬も枝上に残ることがある。堅果には翼がある。近縁のシラカンバよりは寿命が長く、250年以上ともいわれる。北海道、本州、四国の山地から高山に生え、純林をつくることが多い。国外では千島列島から中国、極東ロシアに広く分布する。亜高山帯の代表的な樹木で、本州中部地方では海抜1500メートルより上方に生育し、森林限界付近まで分布する。北海道では、海岸付近の低地にも生える。材は、従来はあまり重視されていなかったが、近年は家具、内装、合板、パルプなどに用いられるようになった。
[菊沢喜八郎 2020年2月17日]