山地に生えるカバノキ科の落葉高木で,シデ類によく似る。アサダ属Ostryaやアサダは英語でhop hornbeamと呼ばれる。樹皮は縦に細かくはげる。若枝には毛と腺毛があるが,腺毛はシデ類にはなく,ハシバミとの類縁を示すものである。葉は互生で狭卵形,縁には重鋸歯がある。托葉は早落性。雄花と雌花があり,別々の花序につく。雄花序は尾状花序となって垂れ下がる。雄花には花被がなく,苞葉の上に多数のおしべがついている。雌花序は新枝の頂端に短い花穂をなす。苞の腋(えき)に2個の雌花があり,それぞれ小苞に包まれる。花は春に咲き,開花後,苞はそのまましぼんでしまうが,小苞は果実を包むように発達する。ミノカブリ,フクロシバなどの別名は,果実を小苞が袋になって包んでいる様子にもとづく。北海道,本州,四国,九州,朝鮮,中国に分布し,材は硬く,家具や床板などとして用いられる。
執筆者:岡本 素治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
カバノキ科(APG分類:カバノキ科)の落葉高木で、高さ17メートルくらいになる。堅果が、膜質、袋状の包葉に包まれるのが特徴。各地の山地に生え、樹皮が灰褐色で浅く裂け、小さく割れて反り返る。小枝には密に毛がある。葉は互生し、長卵形で、軟毛が密生してビロード状となる。雌雄同株で、雄花序は前年秋から現れ、早春に開花する。雌花序は春に現れ、秋に下垂して果序となる。材は堅く、弾力があり、材色が美しいので床板材として最優秀であるほか、紡績木管、家具、器具などに用いる。アサダ属は北半球に7種、日本には1種が分布する。
[菊沢喜八郎 2020年2月17日]
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