あさだ(読み)アサダ(その他表記)Ostrya japonica Sarg.

デジタル大辞泉 「あさだ」の意味・読み・例文・類語

あさだ

カバノキ科の落葉高木。春、黄褐色雄花雌花とが尾状につく。材は堅く光沢があって耐久性に富み、床板家具器具使用

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精選版 日本国語大辞典 「あさだ」の意味・読み・例文・類語

あさだ

  1. 〘 名詞 〙
  2. カバノキ科の落葉高木。各地の山地自生。高さ一五~一八メートル、直径〇・六メートルに達する。樹皮は鱗片状(りんぺんじょう)にはがれる。葉は長さ五~一〇センチメートルの卵形で、先はとがり、縁に不規則な鋸歯がある。初夏前年の枝先に雄花の尾状花穂が垂れ下がり、新枝に雌花の穂が上向きにつく。材は堅くて光沢があり、家具、建具などを作る。
  3. 植物「やぶにっけい(藪肉桂)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「あさだ」の意味・わかりやすい解説

アサダ
Ostrya japonica Sarg.

山地に生えるカバノキ科の落葉高木で,シデ類によく似る。アサダ属Ostryaやアサダは英語でhop hornbeamと呼ばれる。樹皮は縦に細かくはげる。若枝には毛と腺毛があるが,腺毛はシデ類にはなく,ハシバミとの類縁を示すものである。葉は互生で狭卵形,縁には重鋸歯がある。托葉は早落性。雄花と雌花があり,別々の花序につく。雄花序は尾状花序となって垂れ下がる。雄花には花被がなく,苞葉の上に多数のおしべがついている。雌花序は新枝の頂端に短い花穂をなす。苞の腋(えき)に2個の雌花があり,それぞれ小苞に包まれる。花は春に咲き,開花後,苞はそのまましぼんでしまうが,小苞は果実を包むように発達する。ミノカブリフクロシバなどの別名は,果実を小苞が袋になって包んでいる様子にもとづく。北海道,本州,四国,九州,朝鮮,中国に分布し,材は硬く,家具や床板などとして用いられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「あさだ」の意味・わかりやすい解説

アサダ
あさだ
hop-hornbeam
[学] Ostrya japonica Sarg.

カバノキ科(APG分類:カバノキ科)の落葉高木で、高さ17メートルくらいになる。堅果が、膜質、袋状の包葉に包まれるのが特徴。各地の山地に生え、樹皮が灰褐色で浅く裂け、小さく割れて反り返る。小枝には密に毛がある。葉は互生し、長卵形で、軟毛が密生してビロード状となる。雌雄同株で、雄花序は前年秋から現れ、早春に開花する。雌花序は春に現れ、秋に下垂して果序となる。材は堅く、弾力があり、材色が美しいので床板材として最優秀であるほか、紡績木管、家具、器具などに用いる。アサダ属は北半球に7種、日本には1種が分布する。

[菊沢喜八郎 2020年2月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「あさだ」の意味・わかりやすい解説

アサダ
Ostrya japonica

カバノキ科の落葉高木。日本各地の山地に生える。高さ 17m,直径 60cmぐらいになる。花は5月頃咲き,雌雄同株。雄花は長さ 3cmぐらいの黄褐色の尾状花序。雌花の穂は新枝の先につき上に向く。材は建築材,器具材となる。

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