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カリーラとディムナ カリーラとディムナ Kalīla wa Dimna

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カリーラとディムナ
カリーラとディムナ
Kalīla wa Dimna

インドのサンスクリット説話集『パンチャタントラ』に基づく物語。カリーラおよびディムナは本書に現れる2匹のジャッカルの名。6世紀頃イランパフラビー語に訳され,その後シリア語アラビア語の翻訳を経て東西五十数ヵ国語に翻訳された。

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世界大百科事典 第2版の解説

カリーラとディムナ【Kalīla wa Dimna】

アラビア散文文学の最古の作品。ササン朝ペルシアホスロー1世(在位531‐579)によってインドに派遣された医師ブルズーヤBurzūyaは,多数の医学書とともにサンスクリット語の寓話集《パンチャタントラ》を持ちかえった。これはやがて中世ペルシア(パフラビー)語に訳されたが,8世紀にイラン系のイブン・アルムカッファーがこれをさらにアラビア語に重訳したのが《カリーラとディムナ》である。パフラビー語訳本は滅びたが,このアラビア語訳本はその洗練された文章で,アラビア語散文中の模範的なものとされ,アラビア文学の古典となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カリーラとディムナ
かりーらとでぃむな
Kalla wa Dimna

古代インドの説話集『パンチャタントラ』(ビドパイの寓話(ぐうわ)集)の流れを引く、動物を主人公とする倫理的物語集。作者はイラン系のアラビア語著述家イブヌル・ムカッファーで、題名は第2章に出てくる2匹のヤマネコの名からとられている。古代の民話風物語に、貴人の教育のための倫理的色彩を添えたもの。現存のもののいくつかの写本にはテキストに若干の相違があるが、古形を伝えるものでは、約17の枠物語のなかに数十の説話がはめ込まれている。『パンチャタントラ』は中国を介して日本に影響を及ぼし、『今昔物語集』(1120ころ)の天竺(てんじく)編中に、『カリーラとディムナ』中に出てくるものと共通の物語が2編入れられている(『鶴(つる)と亀(かめ)』および『亀の肝』と略称されるもの)。また、このアラビア語版から1261年に古スペイン語訳がつくられ、のちにヨーロッパ各国語訳が行われた。パフラビー語(中世ペルシア語)原典は失われたが、シリア語版やヘブライ語版が伝えられ、また、近代ペルシアでも種々の流布本がある。比較文学史上もっとも重要な作品の一つに数えられる。[矢島文夫]
『菊地淑子訳『カリーラとディムナ――アラビアの寓話』(平凡社・東洋文庫)』

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世界大百科事典内のカリーラとディムナの言及

【アラブ文学】より

… 散文ではイブン・アルムカッファーが文学,哲学,社会などをテーマにして,インド・ペルシア文化のアラビア語への翻訳を行い,アラビア語による散文手法の基礎を確立した。動物に語らせる《カリーラとディムナ》はサンスクリットで書かれていた《パンチャタントラ》の中世ペルシア語訳を,彼がアラビア語に訳した名作である。しかし文学史を通じて散文文学を頂点に導いたのは約半世紀後に出たジャーヒズである。…

【イスラム美術】より

…メソポタミア出身のジャザリーが,水時計などの自動装置について著した《機械じかけの知識》の挿絵(1206。トプカプ宮殿博物館),ギリシアの医師ディオスコリデスの《薬物誌》のトプカプ宮殿本(1229),ガレノスの模本《解毒薬テリアカの書》のパリ・ビブリオテーク・ナシヨナル本(1199)およびウィーン国立図書館本(13世紀),動物寓話《カリーラとディムナ》のパリ・ビブリオテーク・ナシヨナル本(13世紀初期),アブル・ファラジュの大著《歌謡の書》のイスタンブール・ミッレト図書館本(1219ころ),ハリーリーの冒険旅行譚《マカーマート》のシェフェール本(1237。パリ・ビブリオテーク・ナシヨナル)などが,代表的な作品である。…

【ステファニテスとイクネラテス】より

…動物寓話の形式をとった君主学の書であるサンスクリット文学の《パンチャタントラ》のギリシア語版。6世紀にパフラビー語訳,同世紀末にシリア語訳,8世紀にアラビア語訳されたのち,11世紀にシュメオン・セトにより,《カリーラとディムナ》と題されたアラビア語版からギリシア語版がつくられた。その際アラビア語版の題名であるこの2匹のジャッカルの名が,ステファニテスとイクネラテスと変えられた。…

【パンチャタントラ】より

…西北インドに伝わった現存しない一本から,6世紀ころ中世ペルシア語のパフラビー語に翻訳されたものがあったというが,これも散逸して伝わっていない。ただしこれを基にしたシリア語訳(570ころ)とアラビア語訳(750ころ)があり,これらの訳本は原本に登場する2匹の豺(ジャッカル),カラタカとダマナカの名をとって《カリーラとディムナ》と呼ばれ,この題名は内容とともにその後の西方諸国語訳の起源をなした。15世紀にペルシア語に翻訳された《アンワーリ・スハイリー》も,東西諸国語に訳された諸本の基となっている。…

【ペルシア文学】より

…珍しく詩形をとる《ドラフト・イー・アスーリーグ(バビロニアの樹)》のような,問答形式,謎解き形式のものも便宜上ここに含めることができよう。〈世俗文学〉には,サンスクリットより訳出された《カリーラとディムナ》,のちの《千夜一夜物語》に結びつけられる《シンドバード・ナーマグ(シンドバードの書)》,《ハザール・アフサーン(千の物語)》などがあった。同じ世俗文学でも〈歴史・伝記文学〉に属するものに,《フワダーイ・ナーマグ(王の書)》がある。…

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