日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
カルバミン酸アンモニウム
かるばみんさんあんもにうむ
ammonium carbamate
カルバミン酸(カルバミド酸)のアンモニウム塩と考えられる化合物。アンモニアと二酸化炭素とを乾燥状態で直接反応させると得られる。アンモニアの冷エタノール(エチルアルコール)溶液に乾燥二酸化炭素を通ずるか、液体アンモニアに固形炭酸を加えることによっても生成する。
2NH3+CO2―→H2NCO2NH4
白色の、正方晶系結晶性粉末。乾いた空気中では安定であるが、湿った空気中ではアンモニアを放出して炭酸水素アンモニウムに変わる。室温でいくぶん揮発性を示し、59℃でアンモニアと二酸化炭素に分解するが、冷却するとふたたび化合する。封管中120~140℃に熱すると水を失い尿素となる。尿素製造工程での中間体と考えられている。また、市販の炭酸アンモニウムはこの化合物と炭酸水素アンモニウムとの複塩であることが多い。
[鳥居泰男]