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カワウソ Lutrinae; otter

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カワウソ
Lutrinae; otter

食肉目イタチ科カワウソ亜科の総称。ユーラシアカワウソコツメカワウソラッコなど,4属 13種から成る。体長 41~130cm,尾長 13~65cm。体はこげ茶から黄土色で,耳が小さい。四肢の指間に蹼 (みずかき) が発達し,水中生活に適応している。毛皮が良質のため乱獲され,また河川の開発,汚染のため,日本ではニホンカワウソが四国の沿岸にわずかに生息しているだけで絶滅の危機に瀕しており,特別天然記念物に指定されている。アジア中北部,ヨーロッパ,北アフリカに分布し,水辺にすんでカニ,水鳥魚類などを捕食する。

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百科事典マイペディアの解説

カワウソ

食肉目イタチ科の哺乳(ほにゅう)類。体長64〜82cm,尾30〜50cmほど。背面は暗褐色腹面淡褐色。ユーラシア大陸,北アフリカに分布する。日本ではかつては北海道から九州までニホンカワウソがふつうに生息していたが,現在では四国南西部の海岸にわずかに残存しているといわれるのみ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カワウソ
かわうそ / 獺・川獺
river ottercommon otter
[学]Lutra lutra

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科の動物。広くカワウソ類という場合はイタチ科カワウソ亜科をさし、カワウソのほかに、オオカワウソ、コツメカワウソ、ツメナシカワウソ、ラッコなどの各属が含まれる。カワウソ類は、オーストラリア、ニュージーランド、マダガスカル島、北極および南極地方以外の地域に生息する。カワウソは、12種ほどに分類されているカワウソ属のなかの1種で、ヨーロッパ、アフリカ北部からアジア中北部に生息する。[古屋義男]

形態

体色は、体の上面は黒褐色、下面はやや明るい褐色である。胴長で四肢は短く、尾は基部が太くて胴との境界が不明瞭(ふめいりょう)で、先端部はやや扁平(へんぺい)である。頭胴長は60~85センチメートル、尾長は30~50センチメートル、体重は4~10キログラムほどである。歯式は

で合計36本。体形は全体として流線形で、前後肢とも指の間に水かきが発達し、頭部は平たくて耳は小さい。耳と鼻孔とは水中では閉じる。目は頭部の上端についており、泳ぎながら周辺を見るのに適している。毛は上下毛とも密生し光沢がある。とくに上毛は水はけがよく、水を下毛までなかなか通さない。体をくねらせ、尾と四肢を巧みに使い、水中を活発に泳ぐ。[古屋義男]

生態

カワウソの生息場所は、河川、湖沼、海岸である。普通、日中は河岸や海岸の岩穴や土穴、木の茂みなどで過ごし、夜間に活動するようである。おもに水中で活動するが、ときには陸上にあがる。数キロメートルも丘を越えて移動することもあるというが、ラッコのように陸から遠く離れてしまうことはなく、川や海岸に沿って行動している。行動域はかなり広く、ヨーロッパの例では、川や海岸に沿って10~20キロメートルにも及ぶという。季節的に生息場所を変えることもあると思われる。食物は、魚やエビ、カニなどが多いが、ネズミ、ウサギ、鳥、カエル、昆虫、カタツムリなども食べるという。量は飼育下で1日に約1.5キログラムの餌(えさ)を食べたという記録がある。普通、単独ないしは数頭の小集団で生活する。縄張りは明確ではないが、休息場所や育児場所である巣の近くに糞(ふん)をするほか、岩角や岸辺をいわゆるサインポストとして粘液質の便をし、マーキング(印づけ)することがある。糞は円筒状で3~10センチメートルぐらい、新しいうちは独特の強い臭気がある。魚の鱗(うろこ)や骨、エビやカニの甲などを含み、乾くと白っぽくなり、かさかさになる。行動域には、糞のほかに食べ残しの魚の残骸(ざんがい)もよくみられる。声は出すこともあるが、多くはない。妊娠期間は約60日、1産1~4子、子は閉眼被毛で生まれ、1年半から2年で成熟して子を産むといわれている。カワウソの生態については、まだ不明の部分が多い。[古屋義男]

人間生活との関連

カワウソは人によくなれる動物らしく、中国やヨーロッパではペットにしたり、飼いならして魚を網に追い込むのに使ったこともあったという。しかし、養殖している魚を食い荒らすことから、大量に殺されもした。寒い地方では良質の毛皮が珍重されたし、肉を喜んで食べる地方もあった。
 すでに絶滅したと考えられるニホンカワウソはもとより、ユーラシア大陸のツンドラ以南にすむユーラシアカワウソなども減少しているのは、人間によって捕殺されてきたことが大きな原因になっている。さらに、生息している水域の汚染が急速に進行していることが、それに拍車をかけている。[古屋義男]

民俗

カワウソは現在日本ではごく限られた土地にしか生息していないが、以前は相当広い地域に分布していたようである。民間伝承によれば、石川県能登(のと)地方ではカワウソは河童(かっぱ)と類似したものと考えられ、また四国の小豆(しょうど)島ではカワウソを神に祀(まつ)っている所もあった。全国を通じてみられるのは、「尻尾(しっぽ)の釣り」という昔話の主人公になっていることで、キツネとカワウソが御馳走(ごちそう)しあい、カワウソはキツネに尾を水に垂らして魚をとることを教えるが、これに従って寒中に尾を垂らしたキツネは、凍り付いた尾を無理に引っ張って尾を切ってしまうという話である。[大藤時彦]
 日本ではカワウソは人を化かすという。川天狗(かわてんぐ)も正体はカワウソと伝える。カワウソの怪異性は、水と陸とにまたがる生態に由来するらしい。アイヌでも、カワウソは夜化けてくることがあると伝え、神の伝言を忘れたために記憶力を取り上げられたので、うかつにカワウソの肉を食べると物忘れするという。中国では古代から、カワウソがとった魚を並べて置くのを先祖への供物と見立てた。暦法の七十二候で、二十四節気の雨水(うすい)の第一候を「獺祭魚(だっさいぎょ)」とよぶのもその伝えによる。カワウソが魚を祀(まつ)るという意味で、旧暦正月にあたる。[小島瓔

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