コツメカワウソ(英語表記)Aonyx cinerea; Asian short-clawed otter

共同通信ニュース用語解説 「コツメカワウソ」の解説

コツメカワウソ

主に東南アジア湿地帯や河川にすむ。体長40~60センチ程度。生息地の環境破壊密猟で数が減り、国際自然保護連合レッドリスト絶滅危惧種に指定。日本ではインターネットの動画が人気を博し「カワウソカフェ」ができるほどのブームになった。環境団体トラフィックによると2015~17年に東南アジアでの密輸取り締まりで保護されたカワウソ59匹のうち32匹が日本向けだった。今年8月のワシントン条約締約国会議で国際取引が原則禁止となり、日本国内の取引も規制される。(バンコク共同)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コツメカワウソ」の意味・わかりやすい解説

コツメカワウソ
Aonyx cinerea; Asian short-clawed otter

食肉目イタチ科カワウソ亜科ツメナシカワウソ属。頭胴長は 41~64cm。尾長は 25~35cm。体重は 2.7~5.4kgで,雄は雌より大きい。上面は灰色を帯びた茶色から薄い黒褐色である。頬ならびに喉部は白から灰白色を呈する。頭部は平らで短く,鼻鏡は前方に位置し,鼻鏡の上縁は突出する。四肢は幅が狭く,蹼 (みずかき) が趾 (あしゆび) の先端近くまである。3番目と4番目の趾がほかの趾に比べて長く,爪は上方を向いており,きわめて小さく痕跡的であるが,指先の感覚が非常に鋭く器用である。乳頭数は4個。門歯上顎下顎に各6本,犬歯は上顎と下顎に各2本,前臼歯は上顎6~8本,下顎6本,臼歯は上顎2本,下顎4本である。家族を中心とした小さな群れをつくり,12種類以上の声によるコミュニケーションを行う。甲殻類や貝類,魚類などを捕食する。繁殖期は特定されず,妊娠期間は 60~64日で,年に2回繁殖することがある。1産1~6仔で平均2仔。インドスリランカ,中国南部,インドネシア,ボルネオ島パラワン島に分布し,河川の近くに生息する。マレーシアでは漁に利用している。ペットとして飼育されており,飼育例ならびに繁殖例は多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コツメカワウソ」の意味・わかりやすい解説

コツメカワウソ
こつめかわうそ / 小爪獺
oriental small-clawed otter
[学] Amblonyx cinerea

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科の動物。インドからスマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島、中国南部などにすむ。カワウソ類のなかでは小形で、頭胴長約60センチメートル、尾長約30センチメートル、体重2.7~5.4キログラム。四肢のつめは小さく、指先より突出しない。河口や海岸に小集団をつくって生活するものが多い。

[古屋義男]


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知恵蔵mini 「コツメカワウソ」の解説

コツメカワウソ

イタチ科ツメナシカワウソ属に分類される動物。体長約50センチメートル。東南アジアなどの河川の近くや湿地に生息している。環境破壊による生息地の減少やペット需要に応じた密猟などが原因で、1990年代ごろから個体数が急減したとみられ、国際自然保護連合(IUCN)は絶滅の恐れが高い「危急種」に指定している。2019年にはワシントン条約締約国会議で国際取引を禁止する議案が採択された。国内では環境省が同年内に国際希少野生動植物種に指定する見通しで、指定後には譲り渡しが規制される。

(2019-8-29)

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