食品を含む商品のライフサイクル(計画段階から原材料・部品調達、栽培・生産、製造・加工、運搬・配送、消費・利用、廃棄・リサイクル段階まで)の全過程で排出された温室効果ガスを二酸化炭素(CO2)に換算して表示する指標。英語の頭文字をとってCFPまたは単にCFと略されることもある。和訳して「炭素の足跡」とよばれるほか、「カーボンラベリングcarbon labeling」、「温室効果ガスの可視化」ともいわれる。商品ごとのCO2排出量を一目でわかるように表示することで、消費者に排出量の少ない商品を選ぶ機会を設け、排出削減や温暖化防止につなげるねらいがある。生産者にとっても、より排出量の少ない原料や生産・加工工程を選ぶきっかけになる。最近は商品だけでなく、移動・運搬や宿泊などサービス全般にカーボンフットプリントを導入する動きが広がっている。類似指標に、ある商品の使う水資源量を表すウォーターフットプリントや、人間活動の環境への負荷を面積で示すエコロジカルフットプリントがある。
イギリス政府が「PAS2050」とよばれるカーボンフットプリントの規格を創設し、2007年にポテトチップス、果実飲料、シャンプーなどで表示を始めたのが世界で最初とされる。導入はヨーロッパが先行し、日本では2009年度(平成21)から政府が民間商品に対し、排出量の算定基準を認定して専用マーク添付を認める試行事業を始めた。2012年から民間へ事業を移し、社団法人産業環境管理協会がカーボンフットプリントの認証・管理を担っている。ただ、温室効果ガスの排出量を正確に算出・認定するのはむずかしく、基準や認証が国や企業ごとにまちまちとなっている。国際規格も、アメリカ系シンクタンクなどが主導するGHGプロトコルと、ヨーロッパが提案したISO(国際標準化機構)の「ISO14067」などが並立している。なお、カーボンフットプリントはもともと、個人の暮らしや企業活動を通じて排出される温室効果ガスの出所や量を調べて把握する意味に使われていたが、日本ではものやサービスごとの排出量を表示する意味で使われることが多い。
[矢野 武 2022年10月20日]
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