改訂新版 世界大百科事典 「ガスリー」の意味・わかりやすい解説
ガスリー
William Tyrone Guthrie
生没年:1900-71
イギリスの演出家。オックスフォード大学在学中から演出に活躍。1930年代から40年代にかけて,ロンドンの劇場オールド・ビックでシェークスピア劇の舞台化を行った。53年,シェークスピアの故郷と同名のカナダの町,オンタリオ州ストラトフォードに建設された,エリザベス朝風の張出舞台をもつ劇場を本拠として,シェークスピア・フェスティバルを創始し,57年まで運営責任者であった。さらに63年,アメリカのミネソタ州ミネアポリスに彼の名を冠して新たにつくられたタイロン・ガスリー劇場の責任者となり,シェークスピアをはじめとする古典劇を多く演出した。ガスリーの演出は,張出舞台の自由さを再評価して現代劇の活性化をはかったもので,生気ある群集場面の処理に特色があった。演劇論や回想などの著書数冊がある。61年,サーの称号を与えられた。
執筆者:喜志 哲雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報