キッド(Benjamin Kidd)(読み)きっど(英語表記)Benjamin Kidd

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

キッド(Benjamin Kidd)
きっど
Benjamin Kidd
(1858―1916)

イギリスの社会学者。19世紀後半の社会ダーウィン主義の方法論的立場から、『社会進化論』(1894)『西洋文明の諸原理』(1902)などを著した。イギリスにおける社会ダーウィン主義の展開のなかで、スペンサーのように「個人」を重視する立場ではなく、むしろ「社会」を重視する立場をとるところに特色を有する。キッドによれば、社会の進化は社会諸集団間の闘争淘汰(とうた)によって実現されるものであり、その過程において社会に統合をもたらす宗教役割が強調されなければならない。バックルバジョットが「個人」の合理的知性に依拠するのに対して、キッドは「社会」の超合理的心性を重視する社会統合の視点にたっている。

田中義久

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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