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キリバス Kiribati

翻訳|Kiribati

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

キリバス
Kiribati

正式名称 キリバス共和国 Republic of Kiribati。
面積 811km2
人口 10万1000(2011推計)。
首都 ギルバート諸島のタラワ環礁にあるバイリキ

中部太平洋,北緯4°~南緯3°,東経 172°~177°にあるギルバート諸島 (面積 272km2) およびオーシャン島フェニックス諸島ライン諸島の一部からなる国。オーシャン島を除きすべて環礁である。 1764年に J.バイロン,1777年に J.クック,1788年に T.ギルバートおよび J.マーシャルが来航。 1892年にギルバート諸島がエリス諸島 (現ツバル) とともにイギリス保護領となり,1915年にオーシャン島を加えてギルバート・エリス諸島植民地が形成された。 1916年にライン諸島のファニング,ワシントン両島,1919年にクリスマス島,1937年にフェニックス諸島が編入され,1972年にはライン諸島南部の無人島群も編入された。 1971年から内政自治が進展し,1975年エリス諸島が分離,1979年独立した。人口の 90%以上がギルバート諸島に集中し,残りの島の住民の多くもギルバート諸島からの移住者である。住民はミクロネシア系で,言語はキリバス語と英語 (公用語) 。自給農業のほかコプラなどを産し,漁業が行なわれる。輸出の大部分を占めたオーシャン島のリン鉱石は 79年枯渇し,イギリスの財政援助とリン鉱石収入の積立基金が経済を支えている。

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世界大百科事典 第2版の解説

キリバス【Kiribati】

正式名称=キリバス共和国Republic of Kiribati面積=726km2人口(1996)=8万2000人首都=バイリキBairiki(日本との時差=+3時間)主要言語=キリバス語,英語通貨=オーストラリア・ドルAustralian Dollar中部太平洋にある島国。1979年7月12日にイギリスから独立した。旧ギルバート・エリス諸島のうちのギルバートGilbert諸島で,ポリネシア系のエリスEllice(独立後ツバル)諸島から分かれたミクロネシア系住民の国。

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大辞林 第三版の解説

キリバス【Kiribati】

中部太平洋、赤道と日付変更線が交わる海域に散在するギルバート諸島・フェニックス諸島・ライン諸島などから成る共和国。1979年イギリス植民地から独立。コプラを産する。住民はミクロネシア系。主要言語はキリバス語・英語。首都タラワ。面積700平方キロメートル。人口8万( 2003)。正称、キリバス共和国。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

キリバス
きりばす
Republic of Kiribati英語
Ribaberikin Kiribatiキリバス語

中部・東部太平洋にまたがって散在する群島国家。東西南北すべての四半球に国土が存在する世界唯一の国である。正称キリバス共和国Republic of Kiribati。1979年7月12日にイギリスから独立。人口8万3000(1997年推計)、9万8045(2009年、世界銀行)。人口の9割が首都バイリキのあるタラワ環礁を中心にしたギルバート諸島に居住している。[小林 泉]

自然・地誌

ギルバート諸島、フェニックス諸島、ライン諸島の三つの島嶼(とうしょ)グループで構成される。西端のバナバ(オーシャン)島だけが海抜80メートルを超す隆起サンゴ礁島で、その他は標高数メートル以下の環礁島ばかりである。そのバナバ島から東端のクリスマス島までは3870キロメートルもあるため排他的経済水域は355万平方キロメートルにもなって、その広さは太平洋島嶼諸国第1位を誇る。だが、陸地面積は730平方キロメートルで、日本の対馬(つしま)程度しかない。東半球に位置するクリスマス島はハワイと同経度のため、かつては同一国内で日付が異なっていたが、議会は1995年に領土線に沿って日付変更線を東に迂回(うかい)させる決定を下して国内同一日付とした。
 近年の考古学・言語学の研究によると、紀元前2000年ごろに西方のカロリン諸島からミクロネシア人がカヌーに乗ってギルバート諸島へと移動してきたと推定される。それによって、カヌー建造技術や航海術などの伝統が引き継がれミクロネシア海洋文化が栄えたが、東方からのポリネシア文化の影響も少なからず流入している。一方、陸地では平坦なサンゴ礁島ゆえに自然資源に乏しく、ココヤシの実、タロ、ヤム、パンノキの実などを食料とする自給的な村落共同体社会を形成していた。ところが、18世紀ごろから本格化する西洋人との接触によってキリスト教や貨幣経済の導入が進むと、しだいに伝統的生活様式が崩れていった。[小林 泉]

歴史

1788年にイギリス海軍大佐トーマス・ギルバートThomas Gilbertが上陸したことに始まり、1892年に英国の保護領、そして1916年には隣接するエリス諸島(現、ツバル)とともにギルバート・エリス諸島としてイギリス植民地となった。その後、イギリスはフェニックス諸島、ライン諸島も植民地に編入。1941年に太平洋戦争が勃発(ぼっぱつ)すると、日本軍はマキン(現、ブタリタリ)、タラワを占領したが、1943年にアメリカ軍の攻撃にあい全滅した。
 終戦後、ふたたび植民地宗主国に復帰したイギリスは1956年から1958年にかけて、さらにアメリカが1962年に、無人であったクリスマス島で核実験を実施した。1979年7月に、同一植民地でありながらポリネシア人の諸島であるエリス諸島を切り離して独立した。キリバスという国名は、ギルバートの現地語発音である。エリス諸島は1978年1月、独立してツバルとなった。[小林 泉]

政治

独立後もイギリス連邦に所属することとしたが、採用した政体は大統領を国家元首とする共和制である。ただし、議院内閣制との混合型ともいえるもので、国会議員のなかから3~4名の候補者を選出して、国民投票で大統領を決める。議員定数は選挙で選ばれた議員44名に司法長官とランビ島議会代表が加わり総計46名で、大統領、議員ともに任期は4年。大統領、副大統領を含め最大限12名の大臣により内閣が構成されており、そのほか全国6地区に地方行政官が配置されている。初代大統領となったのは、当時29歳であったイレミア・タバイIeremia Tabai(1950― )。3期12年(1979~1990)を務めたのち、憲法にある4選禁止規定に基づいてその座を退いた。国内政争がそれほど激しい国柄ではないが、二代目以降で3期を全うした大統領はいない。2012年3月時点での大統領はアノテ・トンAnote Tong(1952― 、在任2003~ )で3期目。
 イギリス連邦加盟国としてオーストラリア、ニュージーランドとの関係が深く、太平洋諸島フォーラム(PIF)のメンバー国として周辺島嶼諸国との友好関係維持・強化に努めている。また、2003年11月には、それまで国交関係にあった中国と断交して台湾との外交関係を樹立するなど、経済協力や近年の地球環境問題への関心から、積極的に国際社会へ独自のアピール活動を続けている。1999年には国連加盟を果たした。[小林 泉]

経済・社会

本来の島々の暮らしは、いも類、パンノキの実などの自生植物と魚貝類の自給自足による非貨幣経済下にあったが、植民地行政が始まった後には若干の賃金生活者が出現した。1900年にイギリスは、隆起サンゴ礁島であるバナバ島が燐(りん)鉱石に覆われていることを発見。それ以来採掘を続けたため、独立時の1979年には資源が枯渇した。しかし植民地政府は、1968年から燐鉱石の輸出利益を基金化して独立後の政府財源の確保に備えた。2012年時点で政府財政となるおもな収入源は、この基金の運用益、排他的経済水域内の入漁料、外国の援助等である。税収が主要財源にならないのは、国内にみるべき産業がなく、国民生活を支える生産活動は自給的な農漁業と若干のコプラ(ココヤシの果実の胚乳を乾燥させたもの)や魚貝類等の輸出に限られるからである。キリバス人は外国の漁船や貨物船の乗組員として働く者が多く、そのほかの海外出稼ぎ者も含めて、彼らがもち帰ったり、家族に送金したりする、いわゆる外貨がこの国の最大収入源になっている。
 経済指標にみる国民1人当りのGDP(国内総生産)は1890ドルであるが、みるべき国内産業がないわりには自給経済と海外からの送金のおかげで人々の暮らしぶりは所得値以上にみえる。通貨はオーストラリア・ドルを使用しており、補助通貨のコインのみキリバスが発行している
 公用語は英語とキリバス語であるが、日常生活ではキリバス語を使用。国民の大半はミクロネシア人で、宗教はカトリックかプロテスタントの教会に所属するキリスト教徒である。政府は、人口が首都圏に集中しはじめて居住環境が悪化しているため、東側のクリスマス島への移住を奨励してきた。そのため無人島であったこの島の人口は5000人を超える。クリスマス島は周囲160キロメートルにもなる世界最大の環礁島(388平方キロメートル)で、ハワイから空路3時間の距離にある。漁業、観光の拠点として開発が期待されている。
 6歳から10年間の義務教育が始まる。初等レベルは7年制で、その後の中等教育は3年で修了できるが、高等教育機関に進学する者のためにさらに2年の追加コースが設けられている。国内に南太平洋大学(本校はフィジー)の分校のほかに漁船員や教員の養成学校があるが、成績優秀者は奨学金を得て南太平洋大学本校やニュージーランドの大学を目ざす。[小林 泉]

日本との関係

太平洋戦争前、ブタリタリ(マキン)に日本の南洋貿易会社が駐在員を置いていた。戦争中は日米両軍の激戦地となった。
 経済関係では、キリバスから日本への輸出が魚貝類を主として年間5.8億円、日本からの輸入が26億円(2010)と小規模である。日本の協力で設立した「カツオ一本釣り」の漁船員養成学校があり、日本は講師を派遣、卒業後は日本や台湾の漁船に乗り組んで働くなど、漁業にかかわる日本との関係は深い。かつてクリスマス島に宇宙開発事業団(現、宇宙航空研究開発機構)の衛星追跡所が設けられていたが、2011年(平成23)時点では静止衛星投入時に臨時の観測所として借り受けることになっている。
 日本は、1979年(昭和54)のキリバス独立と同時に外交関係を結び、駐フィジー日本大使館が兼轄している。また、2009年までの累積で212.24億円の無償資金協力・技術協力を実施した。[小林 泉]
『郡義典著『マウリ・キリバス――今日は、キリバス共和国』(1996・近代文芸社) ▽助安博之、ケンタロ・オノ著『キリバスという国』(2009・エイト社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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