日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェニックス諸島」の意味・わかりやすい解説
フェニックス諸島
ふぇにっくすしょとう
Phoenix Islands
太平洋中部、日付変更線のすぐ東、赤道のすぐ南に位置する諸島。地理的にはポリネシアであるが、政治的にはミクロネシアに中心部をもつキリバス(ギルバート諸島)に属する。諸島を構成するのはカントンKanton島(別名アバリリンガ)、エンダーバリーEnderbury島、ラワキRawaki島(旧名フェニックス)、マンラManra島(旧名シドニー)、バーニーBirnie島、オロナOrona島(旧名ハル)、マッケーンMckean島、ニクマロロNikumaroro島(旧名ガードナー)の八つの環礁で、全陸地面積をあわせても約28平方キロメートルにすぎない。なお、このうちカントン、エンダーバリー両島は、行政的にはイギリス・アメリカ共同統治領なので、旧イギリス領ギルバート・エリスには数えられていなかった。カントン島は太平洋横断航空路、海底電線の中継地である。
考古学的調査によれば、マンラ、オロナ、ニクマロロ3島には先住民がいたと考えられるが、1820年代にヨーロッパの捕鯨船がきたころには全島無人であった。1859年から77年にかけてエンダーバリー、ラワキ、マッケーン3島はアメリカのフェニックス・グアノ会社によって燐(りん)鉱石採掘が操業され、81年以後はイギリス政府によるココヤシ栽培が開始された。同国は、98年にはこの全域の領有を宣言、1937年ギルバート・エリス植民地に編入された。翌38年アメリカはカントン、エンダーバリー両島を占拠、さらに39年イギリス、アメリカ両国は向こう50年間の共同領有に同意した。グアノを採掘し尽くしたあと、一時はカントン島(人口83、1995)以外は無人化したが、1979年キリバス独立後、新たな開発計画が進められている。
[大島襄二]